発見したら、まずは落ち着いて周囲を確認し、成虫だけでなく幼虫や被害状況をチェックしましょう。その後、掃除機で吸い取って密封処分し、発生源と疑われる場所(衣類、カーペット、食品棚)を徹底清掃してください。再発リスクが高いため、専門業者に相談するのも有効です。
カツオブシムシの効果的な駆除方法は?市販の殺虫スプレーや燻煙剤は一時的な駆除には有効ですが、卵や幼虫への対応には限界があります。根本対策には、発生源の除去と徹底した清掃が重要です。繰り返し発生する場合は、プロの防虫業者による点検と処理を検討しましょう。早期対応が再発防止の鍵です。
カツオブシムシはどこから入ってくる?発生原因は?カツオブシムシは屋外からの飛来や、衣類・乾物・花などに付着して侵入することがあります。室内では、ウール製品やペットの毛、乾物食品などを餌に繁殖するため、換気口や窓のすき間にも注意が必要です。日常的な掃除と保管環境の見直しが予防に効果的です。
カツオブシムシは、ウールやシルクといった衣類やカーペット、乾燥食品などを食害する厄介な害虫です。見た目は小さくても、放置すると被害が広がり、大切な衣類に穴が開いてしまうこともあります。
そこで今回はカツオブシムシを見つけたときにすぐ実践できる駆除方法から、再発を防ぐための予防策を紹介します。被害を最小限に抑えたい方や、これからの発生を防ぎたい方に向けた完全ガイドです。
カツオブシムシとはどんな虫?

カツオブシムシは鰹節を好むため、その名がついたと言われています。しかし、カツオブシムシが好むのは鰹節だけではなく乾物や衣類、カーペット、毛布なども好みます。
日本に生息するカツオブシムシとして「ヒメマルカツオブシムシ」と「ヒメカツオブシムシ」の2種類が知られています。それぞれの特徴や生態を紹介します。
ヒメマルカツオブシムシの特徴
- 【体長】:4~5mm
- 【幼虫の特徴】:太めの円筒状で色は茶褐色、体全体が短い毛で覆われている。尾には槍状毛(そうじょうもう)と呼ばれる長い毛の束があり、護身に役立っている。毛は鋭いが毒はない
- 【成虫の体長】:2~3mm
- 【成虫の特徴】:色は白、茶褐色、黒のまだら模様で、細かく短い毛に覆われている
- 【幼虫の体長】:7~10mm
- 【幼虫の特徴】:イモムシのような形で、色は赤褐色~茶褐色、体全体が短い毛で覆われている。尾には、槍状毛(そうじょうもう)と呼ばれる長い毛の束があり、護身に役立っている。毛は鋭いが毒はない
- 【成虫の体長】:3~5mm
- 【成虫の特徴】:色は茶褐色~黒褐色で模様はない
ヒメマルカツオブシムシとヒメカツオブシムシは見た目こそ違いますが、生態はよく似ています。
ヒメマルカツオブシムシとヒメカツオブシムシの生態
- 【分布】:日本全国
- 【幼虫のエサ】:乾物などの食品、衣類や毛布、カーペット、糸くず、虫の死がいなど
- 【成虫のエサ】:花の蜜、花粉
- 【成虫】:光や白い色に集まりやすく、マーガレット、ハルジオン、ノースポールなどのキク科を好む
- 【成長】:300日程度幼虫として過ごす。幼虫の状態で冬を越して、脱皮を繰り返して成長する。3月~4月頃にサナギになり、4月~7月の間の1ヶ月~2ヶ月を成虫として過ごして産卵する。
【参考】
文化財虫菌害研究所 建物における有害生物管理について
カツオブシムシの駆除方法【基本ステップ】

カツオブシムシの成虫は害がありませんが、問題は食品や衣類に被害を与える幼虫です。しかし、成虫を放っておけば産卵して幼虫が悪さします。家の中でカツオブシムシを見つけたら、成虫でも幼虫でも駆除しましょう。
カツオブシムシの駆除手順
- 発生源を特定して処分する。カツオブシムシは、衣類・カーペット・ぬいぐるみ・乾燥食品・押し入れのほこりなどに発生します。
- 家中を徹底的に掃除する。掃除機を隅々までかけたり、布団やカーペットは天日干しする。
- 殺虫剤を使う。即効性なら「スプレータイプ」の殺虫剤(幼虫・成虫両方に効くもの)、広範囲・長期的な予防には「くん煙剤(バルサン等)」や「忌避剤」がおすすめです。
カツオブシムシを見つけたら殺虫剤スプレーで駆除するのもいいのですが、カツオブシムシはどこに隠れているかわかりません。そんな時にオススメなのが、くん煙タイプの殺虫剤です。隅々まで薬剤が届くよう、クローゼットやタンスの引き出しは全て開けて使用しましょう。
くん煙タイプの殺虫剤は卵やさなぎには効果がありません。カツオブシムシの幼虫は生命力が強く駆除するのが難しいといわれています。

捕虫器を使って駆除する方法
カツオブシムシの成虫は光に集まるため、光で誘引する捕虫器で成虫を駆除しましょう。

服についたカツオブシムシの駆除方法

衣類に付着したカツオブシムシの幼虫や卵は、放っておくと虫食い被害が広がります。大切な服を守るために、素材に合った駆除方法を知っておくことが大切です。
洗濯機で洗う(洗える素材のみ)
コットンや化繊などの洗濯可能な素材であれば、まずは洗濯機で洗うのが基本です。温水や乾燥機を活用することで、虫や卵を確実に除去できます。
ドライクリーニングに出す(ウール・シルクなど)
水洗いできないウールやシルクなどの衣類は、プロに任せるのが安心です。高温処理と薬剤で、見えない卵までしっかり対処してもらえます。
スチームアイロンで虫・卵を熱処理する
家庭にあるスチームアイロンでも、虫の駆除は可能です。乾燥機や洗濯が難しい衣類には、部分的な熱処理が効果的です。
手順はスチーム(100℃前後)を衣類の表裏からあてましょう。デリケート素材はあて布+中温で対応し、アイロン後はハンガーにかけてしっかり乾燥させましょう。
粘着ローラーや手作業で目視除去する
虫やフンが見えている場合は、洗濯前に手作業で取り除くと効果的です。粘着ローラーやガムテープを使えば、手早く処理できます。幼虫やフンが目に見える場合は、粘着シートで直接処理できます。
カツオブシムシを予防する方法|家庭でできる7つの対策

カツオブシムシが家の中で繁殖すると完全に駆除するのは難しく、長期にわたることもあり厄介です。そこでカツオブシムシが発生しないように予防することが重要です。家の中にカツオブシムシを寄せ付けないための実践的な方法を5つ紹介します。
1.洗濯物を取り込む
カツオブシムシの成虫は、光や白いものに誘引されます。洗濯物を取り込む時は、カツオブシムシがついていないか確認しましょう。タオルやシーツ、シャツなどの白い洗濯物、布団や毛布などは念入りに確認しましょう。
特に成虫が活発に動く4月~7月は注意が必要です。カツオブシムシが家に侵入しないように心がけましょう。
2.衣替え時に必ず洗濯やクリーニングする
未洗濯の服には皮脂や汗が残っており、カツオブシムシの幼虫にとって格好のエサになります。特にウールやシルクなどの動物性繊維は被害を受けやすいため注意が必要です。収納前には、必ず洗濯またはドライクリーニングを行いましょう。
3.防虫剤を使用する
クローゼットや衣装ケースには、防虫剤を入れて虫の侵入・産卵を予防します。防虫剤は「パラジクロルベンゼン」「ピレスロイド」など種類によって効果や使い方が異なるため、収納場所や素材に合ったものを選ぶことが大切です。
パラジクロルベンゼンタイプ
- 【特徴】:揮発性が高く、防虫効果が強い
- 【向いている収納】:完全密閉された衣装ケースや引き出し
- 【注意点】:プラスチック製品を変色させることがあるため、直接触れさせないように使用する
ナフタリンタイプ
- 【特徴】:長年使われてきた伝統的な防虫剤。ゆっくり揮発するため効果が長持ち
- 【向いている収納】:密閉型の衣類ケース・桐のタンスなど通気性の少ない場所
- 【注意点】:他の種類の防虫剤と併用すると有害ガスが発生するおそれあるため単独で使用すること
ピレスロイド系タイプ
- 【特徴】:無臭で比較的安全性が高く、子どもやペットがいる家庭にも使いやすい
- 【向いている収納】:通気性のあるクローゼットやハンガーラック
- 【注意点】:密閉性が低い場所では揮発量が少なくなるため、複数個使うと効果が高まる



4.定期的に風を通して湿気を防ぐ
カツオブシムシは湿度の高い場所を好みます。クローゼットや押し入れは、月に1〜2回ほど扉を開けて空気を入れ替えましょう。除湿剤を併用すると、カビ対策にもなって一石二鳥です。
5.食品・ペットフード・乾物類は密閉保存
カツオブシムシは衣類だけでなく、乾燥食品やペットフードにも集まります。密閉容器で保存し、期限切れの食品は放置せずこまめに処分しましょう。特に「鰹節(かつおぶし)」は名前の由来になるほど大好物です。

6.花を家の中に入れる時
外に置いてあった植木鉢やプランターを家の中に入れる時や、庭に咲いている花を部屋に飾る時はカツオブシムシがついていないか確認しましょう。キク科の花、白い花、淡い色の花は念入りに確認しましょう。
7.見つけたらすぐに掃除・処分
カツオブシムシの幼虫は、糸くずや虫の死骸も食べます。カツオブシムシの成虫や幼虫を見つけたら、放置せず掃除機で吸い取り、使用済みの紙パックはすぐに捨てましょう。フンや脱皮殻があった場所は、殺虫スプレーやアルコールで拭き取り、再発を防ぎます。
不安を感じたらプロへ依頼するのがおすすめ
今回はカツオブシムシを見つけたときにすぐ実践できる駆除方法から、再発を防ぐための予防策を紹介しました。カツオブシムシは、小さな体で大きな被害をもたらす害虫です。発見したらすぐに掃除や殺虫剤で対応し、衣類は高温で処理するなど徹底的に駆除することが大切です。また、防虫剤の使用や湿気対策、収納方法の見直しによって再発を防ぐことが可能です。
自力での駆除に不安がある場合や、すでに被害が広がっている場合は、早めに専門の駆除業者へ相談するのがおすすめです。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
カツオブシムシを見つけた場所ごとにやるべき駆除方法は?
クローゼットでは衣類を洗濯・乾燥し、防虫剤を使用。カーペットは掃除機とスチームでの高温処理が効果的です。台所や食品棚では、乾物類を密閉し、食品くずを徹底的に除去してください。場所に応じた方法で対処し、広範囲に及ぶ場合は専門業者の調査が安心です。
幼虫と成虫の見分け方と、それぞれの対処法は?
成虫は3〜4mmの甲虫で、カーペットや窓際に現れやすく、幼虫は茶褐色で細長い毛のような姿をしています。成虫は飛来を防ぐため網戸対策が有効で、幼虫には掃除機やスチームクリーナーでの吸引・加熱が効果的です。見分けと対応を誤ると再発リスクが高まります。
市販の殺虫剤でカツオブシムシに効くものはある?
カツオブシムシには、ピレスロイド系の殺虫スプレーや燻煙剤が効果的です。ドラッグストアやホームセンターで購入可能で、特に「衣類害虫用」「幼虫にも効く」と表示された製品を選ぶのがポイントです。ただし、卵や隠れた幼虫には届きにくいため、清掃との併用が重要です。
カツオブシムシが発生しやすい季節や環境は?
発生のピークは春から初夏(4~6月)です。暖かく湿度の高い環境を好み、風通しの悪いクローゼットやカーペットの裏、食品の保管棚などが発生源となりやすい場所です。気温の上昇とともに繁殖が進むため、初春からの予防対策が重要です。
衣類や布製品がカツオブシムシに食われた場合の対処法は?
食害にあった衣類は被害の程度で処分と再利用を判断します。小さな穴程度なら補修やリメイクで使えますが、被害が広範囲なら廃棄が無難です。他の衣類にも虫が移っている可能性があるため、収納ケース全体の点検とクリーニングを忘れずに行いましょう。
カツオブシムシの発生がひどいと健康に影響はある?
カツオブシムシ自体に毒性はありませんが、幼虫の毛や糞がアレルギーの原因になる場合があります。皮膚刺激や呼吸器系への影響が報告されることもあるため、早期駆除と清掃が大切です。大量発生している場合は、専門業者による処理が安心です。
カツオブシムシの予防にはどんな対策が有効?
有効な予防策は、「こまめな掃除」「密閉保管」「防虫剤の活用」の3点です。衣類は洗濯・乾燥してから防虫剤と一緒に収納し、食品は密閉容器に保管しましょう。また、換気を行い、湿気がこもらない環境を保つことも再発防止につながります。