一定の効果があります。ピレスロイドが煙で拡散し、周囲の蚊を忌避・駆除します。風上配置や複数設置で効き目を安定させ、6畳程度を目安に使うと効果的です。
蚊取り線香の効果はどれくらいの時間続きますか?通常サイズで約6〜7時間、厚巻タイプで10〜12時間が目安です。環境で前後するため、夕方から夜の活動時間帯をカバーしつつ、風向や設置高さを調整すると安定します。
蚊取り線香の効果を高める置き方のコツはありますか?風上に置き、人の周囲へ煙を流すのが基本です。屋外は1.5〜2m間隔で複数設置し、高さは地上1m前後を意識。無風時は扇風機で弱風を作り、四隅配置で煙のバリアを形成します。
夏に活躍する蚊取り線香ですが、「本当に効くの?」「屋外でも効果があるの?」と疑問に思ったことはありませんか。蚊取り線香には科学的な効果が認められており、使い方を工夫すれば、屋外でも6畳相当の範囲で約7時間にわたって蚊の侵入を防げます。
そこで今回は、蚊取り線香の効果や、効果を最大化する5つの使い方を紹介します。正しい知識と実践テクニックを身につけて、蚊に悩まされない快適な夏を過ごしましょう。
蚊取り線香の効果は?

有効成分ピレスロイドの働きとは?
蚊取り線香には「ピレスロイド系殺虫成分」が含まれています。ピレスロイド系殺虫成分は、昆虫や爬虫類などに効く殺虫剤です。金魚や熱帯魚にも影響があるため使う時は注意しましょう。
ピレスロイドの元の成分である「ピレトリン」は、除虫菊という白い菊に含まれています。蚊取り線香が発明されたきっかけは、蚊取り線香の老舗メーカー「金鳥」の創始者がアメリカから送られた除虫菊の種から発明したのが始まりです。
蚊取り線香の始まり
始めは粉の状態でノミ取りとして使われていましたが、のちに棒状の蚊取り線香が開発されました。棒状では40分ほどしか持続できなかったため、1902年に渦巻き状の蚊取り線香の開発に成功してそれから販売されるようになりました。
現在は天然成分が含まれている蚊取り線香は少なくなりましたが、ライオンケミカルが販売している「昔ながらの天然除虫菊蚊取りせんこう」や「かえる印のナチュラルかとり線香」が販売されています。
この2つは天然の除虫菊から取り出した成分で作られているため100%天然成分でできています。着色料や防腐剤は使用しておらず煙の匂いが強くないのも特徴です。
煙は成分を拡散するための重要な役割
線香の煙は、ピレスロイドを空気中に運ぶ手段です。煙が届く範囲に蚊が入ることで、殺虫または忌避効果が発揮されます。したがって煙の広がり方が、効果の広さや強さを左右します。
【参考】
安全性定期報告に関する質疑応答集(Q&A)について 厚生労働省
蚊取り線香の効果はどれくらい持続する?

製品の種類や設置場所によって効果時間と範囲は異なります。ここでは一般的な使用データを紹介します。
燃焼時間
- 【通常サイズ】:7時間前後
- 【厚巻タイプ】:10〜12時間
- 【ミニタイプ】:3時間程度
厚巻きはキャンプや屋外作業など長時間使用に適しており、短時間の使用にはミニタイプが便利です。
屋内・屋外での効果の違い
- 【屋内】:6〜8畳の密閉空間に有効
- 【屋外】:人の周囲を中心に有効。風向・風速、設置高さ・個数で大きく変動(目安:風上配置+1.5〜2m間隔で複数設置)
風の有無や空間の広さによって、効果の範囲は大きく変わります。
蚊取り線香の効果を高める使い方

蚊取り線香は置き場所と、正しい使い方を少し変えるだけで効果が随分違います。
風上に設置する
煙は風に乗って拡散するため、使用者より風上に置くのが基本です。風下では効果が薄れるため、風向きの確認が重要です。そのため蚊取り線香は風が吹いている向きに置くのが効果的な置き場所といえます。
四隅に複数設置して煙のバリアを作る
庭やテントなど広い空間では、四隅に線香を配置することで、全体をカバーするバリアが形成されます。
高さを意識した設置とホルダーの活用
蚊は地上1m前後を飛ぶため、設置の高さが効果に影響します。吊り下げ式ホルダーなども効果的です。
扇風機やサーキュレーターで補助拡散
風がない日は扇風機で煙をコントロールすることで、より広範囲に成分を届けられます。弱風がベストです。
消えたときの対処法と保管方法
芯が湿っていると、途中で火が消えてしまうことがあります。ストローで空気を送り込むと、再点火が容易になります。保管する際は、密閉容器に乾燥剤を併用してください。
蚊取り線香を安全に使うための注意点

安心して使用するために、安全性に関する正しい知識を持ちましょう。
ピレスロイドは基本的に安全
哺乳類の体内では速やかに分解されるため、通常の使用では安全とされています。ただし密閉空間での長時間使用は避けましょう。
蚊取り線香以外にもレモングラス、シトロネラ、ユーカリ、ゼラニウムなども蚊を寄せ付けない効果があるといわれています。蜂よけに効果があるハッカ油については下記の記事で詳しく紹介しています。
レモングラスは子宮を収縮させる働きがあるため、妊婦の方は使わないようにしましょう。また、シトロネラは猫に不向きで場合によっては、中毒になる可能性があります。
アレルギーや喘息がある場合の対策
化学成分に敏感な方には、低刺激タイプやハーブ系の線香の使用をおすすめします。使用時は十分に換気を行い、刺激をできるだけ軽減しましょう。
蚊取り線香を途中で消したい場合
蚊取り線香を途中で消したい時は以下の4つの方法で消せます。
- 火のついた後ろの部分をニッパーで切り離す
- 水をかけて消して乾かしてから再度使う
- ボールペンなどのキャップをかぶせて酸素をなくして消す
- 皿のふちに線香をくっつけて消す
蚊取り線香は蚊以外にも効果がある

蚊取り線香は、ピレスロイド系などの成分が蚊などの虫に働きかけて、近づかせない・退治する効果を発揮します。ただし、哺乳類であるコウモリなどに効くものではありません。畑の畜害対策や小動物を遠ざけたい場合は、カプサイシンなどを使った「獣よけ線香」といった別のタイプの製品を選ぶ必要があります。
蚊取り線香に含まれているピレトリンはムカデやゲジゲジ、ダンゴムシ、クモ、ハエ、ハチなどの殺虫剤に含まれている成分と同じです。蚊取り線香は殺虫剤ほど高濃度ではないため、虫を殺せるほどの威力はありません。
蚊取り線香を置くことでこれらの虫を寄せ付けない効果はあるため、特にコバエに困っている人にはオススメです。
蚊取り線香はコンセントが必要ないため、屋内だけでなく屋外でも使えるのが特徴です。
児玉兄弟商会の「獣よけ線香」は蚊ではなく動物除けの線香として販売されています。獣よけ線香はハクビシンやイタチ、野良猫、野良犬、イノシシなどが寄り付かない効果があります。
通常の蚊取り線香の有効成分はピレトリンですが、獣よけ線香には唐辛子に含まれているカプサイシンが使われています。カプサイシンは人間でも目がしぱしぱするほど威力が強いため使う時は注意しましょう。
他の虫除けグッズとの併用で効果倍増
蚊取り線香だけでなく、他の対策と組み合わせることでより強力な防虫効果が得られます。
| 対策グッズ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 蚊取り線香 | 広範囲・低コスト | 煙とニオイが気になることも |
| 電子式蚊取り | 煙なし・室内向き | 電源が必要、屋外不可 |
| 虫除けスプレー | 即効性あり | 効果時間が短く、肌刺激もあり |
併用すべきおすすめアイテム
- 【ハッカ油スプレー】:天然成分で安心、安全
- 【蚊帳・防虫ネット】:物理的なバリアとして有効
- 【虫除けブレスレット】:子どもにも使いやすい
不安を感じたらプロへ依頼するのがおすすめ
今回は、蚊取り線香の効果や、その効果を最大化する5つの使い方を紹介しました。蚊取り線香は、正しく使用すれば、屋外でも6畳程度の範囲を約7時間にわたって蚊から守ってくれる優れた虫除けアイテムです。有効成分であるピレスロイドが蚊の神経に作用し、煙がその成分を広範囲に拡散することで、高い防虫効果を発揮します。
風上に設置する、複数個を併用する、高さを調整するなど、ちょっとした使い方の工夫によって、その効果は大きく向上します。
ただし、蚊以外にも毛虫やチャドクガのような害虫が発生している場合は、家庭での対策だけでは十分ではないこともあります。被害が深刻になる前に、毛虫・チャドクガの駆除を専門とする業者への相談をおすすめします。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
赤ちゃんやペットがいる部屋で蚊取り線香を使っても安全ですか?
適切に使えば概ね安全です。ピレスロイドは哺乳類で分解されやすく、換気と距離の確保で刺激を抑えられます。においに敏感なら低刺激タイプや無煙・電気式との併用が効率的です。
屋内と屋外では効果の範囲にどんな違いがありますか?
屋内は6〜8畳程度で安定、屋外は風向・風速や設置高さ・本数で大きく変わります。風上配置と1.5〜2m間隔の複数設置で効率が上がり、無風時は扇風機で拡散を補助すると安定します。
厚巻タイプと通常タイプはどちらが長く効きますか?
厚巻が長持ちします。通常は約6〜7時間、厚巻は10〜12時間が目安です。キャンプなど長時間の屋外利用は厚巻、夕方〜夜の短時間なら通常やミニで省エネに使い分けるのが合理的です。
雨や強風のときはどう使えばよいですか?
雨天や強風下では効果が落ちます。屋根下や防滴カバーで燃焼を安定させ、風上に複数本を分散配置します。風で煙が流される前提で、人の滞在域へ届く導線を作ると無駄火を減らせます。
電気式の虫よけと比べてコストや電気代の点で有利ですか?
屋外や停電時は線香が有利です。電気式は煙がなく室内で扱いやすい反面、電源が必要で電気代が発生します。場面で使い分け、屋外は線香+扇風機弱風、屋内は電気式併用が効率的です。
長期保管しても効果は落ちませんか?
未開封で湿気・直射日光を避ければ1年程度で大きくは落ちません。開封後は湿気で着火不良や燃焼不安定が起きやすいため、乾燥剤併用の密閉保管で“来季の効き”を維持できます。
線香の煙は必須ですか?煙が苦手な場合の代替は?
煙は成分を運ぶ媒体なので基本は必須です。煙が苦手なら電気式やハーブ系の低刺激製品に置換し、窓側に線香を短時間使うなど時間帯分散で体感負荷と効果のバランスを取れます。
他の虫よけグッズと併用すると本当に効果は上がりますか?
はい、上がります。蚊取り線香は広範囲をカバーし、スプレーはすぐに効き、電気式は長時間続くという特徴があります。タイプが違うものを組み合わせることで、苦手な部分をお互いに補い合い、虫の侵入をよりしっかり防げます。
蚊以外の虫にも効果はありますか?
忌避・駆除の補助的効果はありますが、対象や濃度で差があります。小型のハエ類などには有効例があり、動物忌避はカプサイシン系の専門線香が適します。目的別に製品を選びましょう。
テントや庭での本数・配置の目安はありますか?
目安は四隅+動線です。広い空間では四隅に置いて環状の煙域を形成し、必要に応じて1.5〜2m間隔で追加します。出入口側を風上にすると再侵入を抑えられ、滞在域の効率が上がります。

