害獣と言えど許可なくハクビシンなどの害獣を駆除することは法律で固く禁じられています。「自分でハクビシンを駆除する方法」で詳しく紹介しています。
ハクビシンが嫌いな匂いは?オオカミの尿を主成分とした薬剤や、トウガラシやニンニクなどの刺激的なにおいを嫌います。「忌避剤を使って追い出す」で詳しく紹介しています。
ハクビシンは「鳥獣保護法」という法律があり、素人が捕獲できません。人体や家屋に様々な悪影響を及ぼす害獣であるハクビシンの駆除はプロの業者に依頼しましょう。そこで今回は自分でできるハクビシン対策や、駆除を依頼する料金相場を紹介します。
ハクビシンとは?

ハクビシンとは(白鼻芯、Paguma larvata)は、食肉目ジャコウネコ科ハクビシン属に分類される食肉類の動物のことです。ハクビシンは、尾を含めて1m程度のジャコウネコ科の動物で、ほぼ全国的に棲息しています。その名の通り、額から鼻にかけて白い線があることが特徴です。
ハクビシンは鳥獣保護法(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律)で保護されており、勝手に捕獲や駆除はできません。
ただし、狩猟獣に指定されているため、農作物や生活被害を発生させている個体に限り、県や市の許可を受けたうえで捕獲や処分が可能です。
賢い
ハクビシンはもともとは高所にある木の実を食べることから森林や、山間部で生活し樹木の上を住まいとしています。環境適応能力や学習能力が高いハクビシンは、都市部で生き残る知能も持っており、郊外区域だけでなく都市部での生息数が日本全国で増えています。
屋根裏や天井裏は本来のハクビシンの隠れ場所によく似た環境のため、ハクビシンが棲みつきやすい場所の1つに挙げられます。ハクビシンは頭がよく学習能力が高いため、その性質を逆手に取り家に寄せ付けない対策するのが有効とされています。
繁殖能力が高い
ハクビシンの出産は年に1回ですが、1回の出産で約30匹を産む言われています。ハクビシンの寿命は約10年です。
ハクビシンの駆除にかかる料金相場は?

ハクビシンの駆除を「自分で行うか?」「業者に依頼するか?」で費用や料金は大きく変わります。
自分で駆除する場合は時間と手間はかかりますが、費用は比較的安価で対策可能です。ただし、効果が出るかどうかは保証できません。
一方、業者に依頼した場合は、料金は内容によって大きく変わります。標準作業でも5万円以上かかりますが、状況によっては100万円以上かかる場合もあるようです。ただし、手間がほとんどかからないため、忙しい人や作業できない人は業者に依頼する方が安心安全でしょう。
自治体によっては補助事業を実施している場合もあるため、まずは役所に相談することをおすすめします。
自分でハクビシン駆除する料金相場
ハクビシンは頭が入る隙間であれば、家屋内に浸入できます。また、ハクビシンは生ごみを餌にするため、生ごみ対策が必要です。
また、雑草や落ち葉などが畑や家の周りにあると絶好の隠れ家になるため、これらを除去することも必要になります。
自分でやれば数万円程度で寄り付かなくすることも可能ですが、手間と時間がかかることが難点です。また、効果の保証はないため、効果が得られない場合、「骨折り損のくたびれもうけ」になります。
業者にハクビシン駆除を依頼する料金相場
手間や時間、面倒な作業が必要であるハクビシンの駆除(捕獲)は業者に任せるのが正解でしょう。ただし、最低でも5万円以上はかかります。
また、面積が広く被害が深刻である場合、100万円を超す場合もあるため、よく相談することが大切です。
家や畑の面積や棲み付いたハクビシンの頭数、作業環境によって料金は大きく変わります。標準的な作業の場合でも、100平米あたり5万円以上の費用がかかるでしょう。被害の深刻度や、どこまで対策するかによっても料金が変わることに留意してください。全てケースバイケースであり、調査結果により見積額は変わります。
ハクビシンの駆除にかかる費用の中で、以下の3項目が料金へ大きく影響します。
- 害獣捕獲申請代行費用
- 作業面積と作業の困難さ
- ハクビシンを捕獲する罠の設置個数
業者が行う標準的な作業内容は、以下のとおりです。
- 生息調査
- 侵入口や侵入経路の特定
- 捕獲の場合「有害鳥獣駆除の申請代行」「捕獲カゴの設置」「定期的な捕獲状況確認」「捕獲後の捕獲カゴ回収」「害獣の処分」など
- 追い出しの場合「爆竹」「煙霧剤や臭覚忌避剤による追い出し」など
- 侵入口の封鎖
- 屋根裏や床下の糞尿清掃
- 必要に応じて、忌避剤散布(家屋や畑の周辺など)
- 必要に応じて、超音波などによる忌避機器の設置(被害が深刻な場合など)
- 捕獲や追い出し状況の報告
自治体のハクビシン駆除に対する補助金制度
自治体によって助成金や補助金などの制度は異なりますが、ハクビシンなどによる被害を受けた場合、まずは役所に相談しましょう。
「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」に対応する自治体であれば、助成や電気柵の貸与などの補助を受けることも可能です。もし、業者に依頼したハクビシン駆除料金の一部を助成してもらえれば、負担軽減になるでしょう。
東京都などの一部の自治体では、「ハクビシンの防除実施計画」を策定し、捕獲を実施しています。被害を受けた場合、相談すれば無料で自治体が駆除してくれる可能性があるため、まずは相談してください。
2024年度に補助金などのハクビシン対策事業を実施している自治体をいくつか紹介します。
- 山形市「タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業」
- 東京都足立区や練馬区、板橋区、町田市など「アライグマ・ハクビシン防除事業」
- 府中市「有害鳥獣被害防止のために設置される防護柵に対する補助金事業」
- 備前市「有害鳥獣被害防止のために設置される防護柵に対する補助金事業」
- 長岡市「小動物用の捕獲わなの購入費を補助」
- 磐田市「野生鳥獣被害防止対策事業費補助金」
- 大津市「外来獣(アライグマ・ハクビシン)の捕獲(おりの貸出)」
【参考】
タヌキ・ハクビシン捕獲等費補助事業について - 山形市
ハクビシン・アライグマ対策事業について 足立区
アライグマ・ハクビシン対策 練馬区
アライグマの被害について|板橋区公式ホームページ
アライグマ・ハクビシン防除事業 町田市
ハクビシン・アライグマについて 東京都府中市ホームページ
有害鳥獣対策-備前市
ハクビシン、アライグマによる被害を防ぐために-長岡市
野生鳥獣被害防止対策事業費補助金-磐田市
外来獣(アライグマ・ハクビシン)の捕獲(おりの ... - 大津市
全国的に補助事業は行われているようですが、気になる人は居住地の自治体に確認を取りましょう。
ただし、事業の条件に合わないと補助は受けられません。また、予算がなくなった場合も助成されないため、気をつけてください。
自分でできるハクビシンの駆除方法

費用をできるだけ安くしようと考えた場合、自分でハクビシン対策することも可能です。手間と時間がかかるため、体力と時間に余裕がある方におすすめします。
素人がハクビシン対策する場合、捕獲や処分などの駆除はできません。できることは、家屋や畑への侵入を防ぐことです。以下に、自分で出来るハクビシン対策について解説します。
外部からの侵入経路や侵入口をふさぐ
以下のような侵入経路を遮断、ふさぐことで家屋への浸入を防ぎましょう。有刺鉄線や防獣対策用の返し、ステンレスのパンチングメタルや金属製の網などを使うと効果的です。
- 軒下の換気口
- 屋根と屋根が重なった部分
- 壁穴や隙間
- 通気口
生ごみの撤去や防獣対策する
生ごみのにおいに誘われてハクビシンなどの害獣が近づくため、においが漏れにくいゴミ箱を使うことが必要です。間引いた農作物も餌になるため畑のそばに放置せず、密閉できるゴミ箱などに入れて片付けましょう。
「生ゴミの臭い対策になるおすすめのゴミ箱」については下記の記事で詳しく紹介しています。

雑草や落ち葉を撤去する
ハクビシンの隠れ家になりやすい、雑草や落ち葉を撤去することも有効な方法になります。雑草は放置せずに定期的に処理しましょう。女性でも使える草刈り機の選び方や使い方や、草むしりをラクにするポイントについては下記の記事で詳しく紹介しています。

忌避剤を使う
ハクビシンは嗅覚がとても優れていて学習能力が非常に高いため、天敵のにおいなどに敏感です。苦手なにおいを嗅いで危険性な場所だと認識すると寄り付かなくなるため、ハクビシン忌避剤が販売されています。
ハクビシンが苦手だとされるにおいは下記のとおりですが、散布や自作する場合は、環境への影響も考慮しましょう。近隣への迷惑や農作物への影響があると、別のトラブルを招く恐れがあります。
- 天敵のオオカミのにおい
- トウガラシ
- ニンニク
- 石油系のにおい
- 木酢液


超音波などで威嚇する
超音波や威嚇音、光でハクビシンを撃退する方法もあります。これらが一体となった便利な商品もありますが、単調な刺激を続けると慣れてしまうため、注意しましょう。
特に、電気柵の設置は有効です。設置費用は面積によって変わりますが、ハクビシン以外の害獣防止にも役立つため、必要に応じて検討してください。

ハクビシン駆除業者を選ぶポイント
安さや早さを売りにする業者では、「許可申請をしない」「勝手に罠を仕掛けて捕獲したハクビシンを処分する」などの暴挙を行なうこともあるようです。後々のトラブルを避けるためには、経験豊富で信頼のおける業者に依頼しましょう。
業者選定において注意すべきポイントは、以下の4点です。
- 害獣駆除の経験が豊富かどうか?
- 害虫駆除における申請手続きが可能かどうか?
- 作業内容ごとの詳細な見積もりを出すかどうか?
- 保証期間があるかどうか?
ハクビシン駆除料金はある程度の高額になる可能性があるため、少なくとも3社から相見積を取りましょう。ほとんどの業者では調査と見積は無料ですが、時間や手間がかかるため有料となる場合もあります。ただし、見積が有料であっても、丁寧で納得のいく説明をしてくれる業者を選ぶ方がいいでしょう。
不安を感じたらプロへ依頼するのがおすすめ
自分でハクビシン駆除を実施することは時間的にも作業的にも困難です。高所作業や慣れない作業で怪我する危険性も高いでしょう。自分で対策しても効果がない可能性も考えられるため、実績があり信頼のおける業者に依頼することがおすすめです。
なお、ハクビシンは野生動物であり、様々な病原菌や寄生虫を保有しています。むやみに近づいたり、自分で捕獲や駆除したりするのは衛生面でも危険です。鳥獣保護法にも抵触するため、まずは役所に被害を相談しましょう。その上で、業者への依頼を検討してください。