塩には除草効果があります。塩を撒くと土壌の浸透圧が上がり、雑草の根から水分が抜けて細胞が破壊されます。ただし、すべての雑草に均等に効くわけではなく、地下茎で再生する多年草には効果が限定的です。また、塩分が土に残りやすく、他の植物や土壌環境にも影響を及ぼすため、慎重な使用が求められます。
除草に使う塩の濃度と撒き方はどうすればよいですか?除草に使う塩水の濃度は、水1リットルに対して塩100〜300gが目安です。じょうろや霧吹きで雑草の根元に狙って撒くと効果的です。散布する日は晴天が最適で、雨や風の日は避けましょう。まきすぎは土壌への悪影響が大きくなるため、必要な範囲だけに限定して使用してください。
雑草対策として塩を使う際のリスクには何がありますか?塩は土壌中に長く残りやすく、撒いた場所だけでなく周囲の植物にも影響を及ぼす可能性があります。ナトリウムが土壌構造を乱し、微生物の活動を阻害するため、長期的には植物の生育に適さない環境になります。また、周囲の植栽や排水路に塩分が流れ込むとトラブルの原因にもなります。
雑草を手軽に枯らしたいと考えたとき、「塩で除草できる」という方法を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。家庭にある塩を使えばコストを抑えつつ、簡単に実践できる手段として注目されています。しかし、塩を使った除草には思わぬリスクが潜んでおり、土壌や建物への影響、さらには近隣トラブルの原因になることもあります。
そこで今回は、塩による除草の効果から正しい方法、環境への影響までわかりやすく紹介します。
なぜ塩が雑草に効くのか?

塩で雑草が枯れる理由は、「浸透圧」と「土壌への悪影響」という2つの作用によるものです。まず、塩(塩化ナトリウム)をまくと土壌中の塩分濃度が高まり、植物の根が水分を吸収できなくなります。その結果、細胞内の水分が外へ引き出され、雑草の細胞が破壊されて枯れてしまいます。
さらに、塩に含まれるナトリウムは土壌中の微生物に悪影響を及ぼし、分解活動や栄養循環を妨げます。これにより、植物が生えにくい土壌環境が形成され、長期間にわたり雑草の発生を抑える効果が期待できます。
塩で枯れる雑草と枯れにくい雑草の違いは?
塩による除草効果は、すべての雑草に等しく作用するわけではありません。一般的に、浅い根を持つ一年草の雑草には強い効果が見られますが、深い根や地下茎を持つ多年草、あるいは塩分に耐性のある植物には効きにくい傾向があります。たとえば、スギナやドクダミのように生命力の強い雑草は、表面だけが枯れても根が生き残り、再生することがあります。
また、降雨によって塩分が流れてしまうと、効果が薄れることもあるため、施工のタイミングや対象植物の特性を見極めることが重要です。
知らずに撒くと危険!塩除草のリスクとデメリット

塩で雑草を除草することはあまりオススメしませんが「なぜ雑草枯れるのか」疑問に思いませんか?
塩に含まれるナトリウムは土壌にも影響を与えます。ナトリウムは土壌の構造を変化させ、粒子の結合を弱めます。これにより、土壌の透水性や通気性が悪化し、他の植物の成長にも悪影響を及ぼします。塩を使いすぎると、土壌が不毛になり、長期間にわたって植物が育ちにくい状態になることもあります。
新しく植物が生えなくなる
塩をまくと土の中で、塩が分解されずに蓄積します。新しい植物を植えても塩が邪魔して植物が成長しません。雑草だけ除草できたらいいのですが、育てている植物まで枯れてしまいます。
塩が溶けて周辺へ流失する
塩は分解されないというのを紹介しましたが、そのまま分解されずに雨などで流れ出てしまうことがあります。流れ出てしまうと近くの畑や地下水、河川などに深刻な影響を及ぼしてしまうことがあります。
住宅基礎や配管に影響がある
庭にまいた塩が雨などで流されて、家の鉄筋コンクリートを弱らせます。塩は酸化させる効果があるので、コンクリートを浸食し住居自体に影響を及ぼす可能性もあります。塩害対策していない家の基礎がボロボロになることもあります。
また、上下の水道配管や電話線などにも影響することがあります。このように塩をまくと確かに雑草は処理することはできますが、後の影響を考えると危険です。
【参考】
コンクリート橋の塩害に関する 特定点検要領(案)国土交通省
正しい塩除草のやり方

塩による除草を効果的に行うには、濃度、散布のタイミング、そして方法に注意が必要です。目安となる塩水の濃度は、水1リットルに対して塩100g〜300gです。雑草の種類や繁茂の程度に応じて、この濃度を調整しましょう。
準備物
- 塩(塩化ナトリウム)
- 水
- バケツやジョウロ
塩水の作り方
- 【強い効果を求める場合】:塩と水の割合を1:3
- 【弱い効果を求める場合】:塩と水の割合を1:5
塩を使った除草手順
- バケツに塩を入れ、水を加えてよくかき混ぜます。塩が完全に溶けるまでしっかり混ぜる。
- 雑草が生えている場所をスコップで土を少しほぐしておくと、塩水が根まで届きやすくなります。
- ジョウロやスプレーボトルを使って、塩水を雑草の根元に直接散布する。
塩をまいた後は土を耕さないようにしましょう。耕してしまうと土の奥まで塩が混ざってしまい、直接根に触れてしまうと根焼けを起こしてしまうので注意しましょう。
家庭でできる除草剤の使い方については下記の記事で詳しく紹介しています。

塩以外で雑草対策する方法

塩以外にも、自然派の除草方法はいくつかあります。化学薬品を使わず、環境に優しい除草方法を紹介します。雑草対策については下記の記事で詳しく紹介しています。

熱湯を撒く
大量の熱湯を用意して、雑草の上から撒くだけです。この熱湯は沸かしたお湯でも構いませんし、野菜をゆでたゆで汁を再利用して撒いても大丈夫なのでそのほうが経済的です。
防草シート
防草シートは雑草を生えさせたくないところに敷き、風に飛ばされないようにしっかり固定するだけで雑草対策できます。

酢を使った除草
白酢やリンゴ酢などの酢をそのまま雑草にスプレーします。酢の酸性成分が植物の細胞を破壊し、枯らす効果があります。葉の部分に直接かけることで、速効性が期待できますが、根まで枯れるには時間がかかることもあります。
重曹を使った除草
重曹(ベーキングソーダ)を雑草の根元や葉の上に直接撒くか、水に溶かしてスプレーします。重曹のアルカリ性が雑草にダメージを与え、徐々に枯れさせる効果があります。舗装道路やコンクリートの隙間に生える雑草に有効です。
手間だと感じたらプロへ依頼するのがおすすめ
今回は塩による除草の効果から正しい方法、環境への影響までわかりやすく紹介しました。塩を使った除草は、一部の場所では手軽で効果的な方法ですが、土壌や周辺環境への悪影響、さらには近隣トラブルといったリスクも伴います。特に家庭菜園や庭木の近くでは、慎重な使用が求められます。
正しい知識と使い方を身につけ、使用は限定的なエリアにとどめることが、安全に雑草を減らすためのポイントです。
長期的かつ環境にやさしい対策を望む場合には、防草シートの活用がおすすめです。広範囲にわたる施工や確実な効果を求める場合は、防草シートの設置を専門業者に依頼することで、より安心して取り組めます。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
雨の日に塩を撒いても除草効果はありますか?
雨の日の散布は推奨されません。塩は水に溶けやすいため、雨によって流れてしまい、除草効果が薄れるだけでなく、隣接する植物や敷地に被害を与える可能性もあります。除草の効果を最大限に発揮するには、天気の安定した晴れた日を選び、濡れていない雑草に撒くことが重要です。
除草目的で塩を使うと法律や条例に違反しますか?
塩は農薬ではないため国の規制対象外ですが、他人の敷地や植栽に影響を与えると損害賠償を求められるケースがあります。実際に近隣トラブルとして相談が寄せられた事例もあります。地域によっては環境保全の観点から条例で規制している場合もあるため、事前に自治体のルールを確認することが大切です。
塩で雑草が生えにくくなる期間はどれくらいですか?
塩による除草効果は一時的ですが、土壌に塩分が残ることで数か月〜半年程度、雑草の発芽を抑えることが可能です。ただし、雨や風で塩分が流れやすい場所では持続性が短くなることもあります。また、塩害が長く残ることで周囲の植物や土壌にも影響が出るため、除草目的以外への影響を十分に考慮する必要があります。
食塩と岩塩では除草効果に違いがありますか?
食塩と岩塩はどちらもナトリウムを含むため、基本的な除草効果に大きな差はありません。ただし、精製された食塩の方が水に溶けやすく、即効性があります。一方、岩塩は粒が大きく、溶解に時間がかかるため、効果がゆっくりと現れます。手軽さを重視するなら食塩、持続性を求めるなら岩塩が適しています。
塩除草はアスファルトやコンクリートの隙間にも使えますか?
塩除草はアスファルトやコンクリートの隙間に生える雑草にも有効です。土壌に接している部分であれば、塩水を撒くことで雑草の根にダメージを与え、再発を抑える効果が期待できます。ただし、長期間繰り返すとコンクリートの劣化や周囲の金属部分の腐食を招く恐れがあるため、使用頻度には注意が必要です。
庭木や花壇の近くで塩を使っても大丈夫ですか?
庭木や花壇の近くでの塩除草はおすすめできません。塩分は根を通じて周囲の植物にも影響を与え、枯死させるリスクがあります。特に根が広がっている樹木や多年草は塩害を受けやすく、回復が困難になるケースもあります。どうしても使用する場合は、ビニールシートなどで養生し、接触や浸透を防ぐ対策をとりましょう。
雑草を防ぐには塩と防草シートのどちらが効果的ですか?
持続性と安全性の面では、防草シートの方が総合的に優れています。塩除草は即効性がありますが、周囲の植物や土壌環境に悪影響を及ぼすリスクが高く、繰り返しの使用が難しい手法です。一方、防草シートは光を遮断して雑草の発芽自体を防ぎ、長期間メンテナンスなしで効果が持続します。広範囲や家庭菜園では防草シートの活用がおすすめです。