キョウチクトウの花には毒性があります。「オレアンドリン」などの強心配糖体を含み、花だけでなく葉・茎・根にも有毒成分が存在します。子どもやペットが誤って口にすると、嘔吐・不整脈・けいれんなどを引き起こす恐れがあるため、家庭での植栽には注意が必要です。剪定や手入れの際は、必ず手袋・長袖を着用し、剪定後の廃棄処理も適切に行いましょう。
キョウチクトウの剪定時期と正しい切り方は?キョウチクトウの剪定は花後の夏〜初秋(7月〜9月)が適期です。この時期に不要な枝を整理することで、翌年も美しい花を咲かせやすくなります。基本的には太い枝を元から切り、風通しと樹形を整えるのがポイントです。毒性のある樹液が手に付かないよう、剪定時は手袋・保護メガネの着用を推奨します。作業後は器具を洗浄し、切り口には癒合剤を塗布しておくと安全です。管理が難しい場合は専門業者への依頼も検討しましょう。
キョウチクトウの花に触っても大丈夫?キョウチクトウの花や葉に素手で触れることは避けるべきです。見た目に反して毒性があり、皮膚や粘膜への刺激、誤って口に入った場合の中毒リスクが指摘されています。特に剪定中は樹液に触れやすく、かぶれや体調不良を引き起こすことがあります。扱う際は必ず手袋を着用し、作業後は石けんで手をよく洗いましょう。子どもやペットが触れられない場所に植えることも、安全対策の一環です。
夏に鮮やかな花を咲かせるキョウチクトウ(夾竹桃)は、公園や道路沿いなどでよく見かける人気の花木です。しかし、その美しさの裏には「強い毒性がある」という意外な一面があり、子どもやペットへの影響を心配する声も少なくありません。
では、なぜ毒のある植物が公共の場に植えられているのでしょうか?そして、安全に楽しむ方法はあるのでしょうか?
そこで今回は、キョウチクトウの花に潜む危険性と正しい対策、街路樹として選ばれている理由について紹介します。
庭におすすめの木については下記の記事で詳しく紹介しています。
キョウチクトウの花とは?

キョウチクトウ(夾竹桃)は、キョウチクトウ科に属する常緑の低木で、地中海沿岸やアジアの一部を原産とします。学名は Nerium oleander で、街路や公園などでよく見かける植物です。葉が竹に、花が桃に似ていることから「夾竹桃(キョウチクトウ)」と名付けられました。
一方で、全草に強い毒性があるため、取り扱いには十分な注意が必要です。以下では、キョウチクトウの花の特徴や、植栽される場所について詳しく紹介します。
花の特徴
- 【開花時期】:6月〜9月(初夏から秋口にかけて長く咲く)
- 【花色】:赤、白、ピンク、黄色(品種により異なる)
- 【花の形状】:5枚の花びらがラッパ状に広がる
- 【樹高】:2〜4mの常緑低木または中高木
- 【葉の特徴】:細長く硬い葉が3枚ずつ輪生
よく見かける場所
- 公園・遊歩道・学校・公共施設の緑地帯
- 高速道路の中央分離帯・道路沿いの植え込み
- 工場・事業所の外構
成長が早く、整った樹形を保ちやすいため、管理コストが低く抑えられることから、自治体や企業の緑化に重宝されています。
キョウチクトウの花言葉

キョウチクトウの花言葉には、いくつかの異なる意味があります。代表的なものを紹介します。
危険
キョウチクトウは全草に毒性があることから、「危険」という花言葉がつけられています。その美しさの裏に潜む毒性を示唆しています。
注意
美しい花に目を奪われがちですが、扱いには注意が必要な植物であることから、「注意」という意味も含まれています。
決して屈しない
キョウチクトウは、暑さや乾燥に強く、厳しい環境下でも元気に育つことから、この花言葉が生まれました。困難に負けずに生き抜く強さを象徴しています。
恵まれた環境
キョウチクトウが好む日当たりの良い環境や、育つ場所の美しさに由来して、明るい意味合いの花言葉もあります。
キョウチクトウの毒性はどれくらい危険?

キョウチクトウは丈夫で美しい花を持つ一方、全草に強い毒性を持つことで知られています。公共施設や道路沿いに多く植えられているため、知らずに近づく人や動物への配慮が求められます。そこで毒成分や中毒リスク、安全管理のポイントを紹介します。
毒の成分と作用
キョウチクトウには「オレアンドリン」や「ネリイン」といった強心配糖体(カルジオトニックグリコシド)が含まれています。これは心臓に直接作用する有毒成分で、摂取量によって以下のような症状を引き起こすことがあります。
- 吐き気・嘔吐・腹痛
- 不整脈・心拍数の異常
- 重篤の場合めまい・意識障害・心停止
致死量は0.30mg/kg、葉っぱ5~15枚ほどの量といわれています。致死量と被害の重さは比例しているわけではないため、少量でも思い中毒症状が出る場合があります。
危険な部位と摂取経路
キョウチクトウは花・葉・茎・根・種子すべてに毒を含みます。また、燃やした煙にも毒性があるため、焼却処分もリスクがあります。
- 誤って口にした場合(子ども・ペット)
- 剪定時に皮膚へ汁液が付着した場合
- 枝葉を燃やし、煙を吸い込んだ場合
皮膚や粘膜からの吸収でも中毒を引き起こす例があるため、手袋・マスクの着用が推奨されます。
実際に起きた中毒・事故例
- 枝を箸代わりに使用し死亡した事故(海外事例)
- 落下した花をペットが誤食して中毒を起こしたケース
- 剪定後の焼却処分で煙を吸い、中毒症状を訴えた例
これらの事故は、キョウチクトウの毒性を軽視した結果とされ、安全な取り扱いの重要性を示しています。
キョウチクトウを安全に育てる方法と手入れ

夾竹桃(キョウチクトウ)は毒がありますが、美しくて育てやすい植物です。
剪定時の注意点
- 厚手の手袋と保護メガネを着用
- 切り口から出る白い乳液には触れない
- 剪定道具は使用後すぐに洗浄
子ども・ペットへの配慮
- 庭の隅や手の届かない場所に植える
- 落ちた花・葉はこまめに掃除する
- ペットが口に入れないよう監視を強化
水やりと肥料の与え方
地植えの場合、根がしっかりと張れば、あまり頻繁に水やりをする必要はありません。乾燥にも強いため、特に梅雨や夏の雨が多い季節では、水やりはほとんど不要です。鉢植えでは水分が蒸発しやすいため、土の表面が乾いたら、しっかりと水を与えるようにします。夏場は乾燥しやすいので、注意が必要です。
キョウチクトウはそれほど肥料を必要としませんが、春から夏にかけては、時々緩効性の肥料や液体肥料を与えると、花付きがさらに良くなります。肥料を与えすぎると逆効果になることがあるので、適量を守ることが重要です。
キョウチクトウが街路樹・公園で愛される理由とは?

毒性があるにもかかわらず、キョウチクトウが多くの公共空間で採用されているのには、明確な理由があります。過酷な環境にも耐え、美しい景観を保ちながら管理コストも抑えられることが評価されています。
環境ストレスへの強さ
- 大気汚染、強い日差し、乾燥などの都市型ストレスに強い
- 病害虫の発生が少なく、農薬や頻繁な管理が不要
- 砂質土壌や痩せた土地でも育つため、土地条件に左右されにくい
こうした特性から、交通量の多い道路沿いや高速道路の中央分離帯でも安定して育成できます。
景観向上と整備効率
- 6月〜9月にかけて色鮮やかな花を長期間咲かせることで、夏場の景観に彩りを添える
- 剪定耐性があり、整った樹形を保ちやすく植栽密度の調整が容易
- 成長が早く、導入コスト・維持コストを抑えつつ広範囲に活用可能
公共施設や学校、公園など、利用者の多い場所でも手間をかけずに美観を維持できる点が評価されています。
不安を感じたらプロへ依頼するのがおすすめ
今回はキョウチクトウの花に潜む危険性と正しい対策、街路樹として選ばれている理由について紹介しました。キョウチクトウの花は、美しい見た目とは裏腹に強い毒性を持つため、扱いには十分な注意が必要です。誤って触れたり食べたりすると人やペットに健康被害を及ぼす恐れがある一方で、環境耐性や景観性の高さから街路樹として重宝される側面もあります。
正しい知識と対策をもって接すれば、安全にその魅力を楽しめます。もしご家庭での剪定や植え替えに不安がある場合は、専門の業者に依頼することをおすすめします。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
キョウチクトウを庭に植えても大丈夫?
キョウチクトウは庭に植えることも可能ですが、毒性への配慮が不可欠です。乾燥や高温に強く育てやすい反面、全草に有毒成分を含むため、小さな子どもやペットのいる家庭ではリスクを伴います。植える場所は人の手が届きにくいフェンス際や目隠しゾーンがおすすめです。また、剪定・処分時の管理を徹底できることが前提になります。
キョウチクトウの枝や葉はどう捨てる?
剪定後の枝や葉には有毒成分が残っているため、処分方法には注意が必要です。多くの自治体では可燃ごみとして出せますが、焼却すると有害な煙を発生させるため絶対に焚き火などで燃やさないでください。枝葉はビニール袋に密封し、他の廃棄物と分けて保管・搬出することが望ましいです。
公園や道路でキョウチクトウが使われる理由とは?
キョウチクトウは毒性がある一方で、街路樹として多く採用されています。理由は、乾燥・排気ガス・高温などの都市環境に強く、剪定にも耐性があり、低コストで景観維持が可能なためです。また、病害虫の被害が少なく、管理が容易な点も公共施設で重宝される理由です。
キョウチクトウの花が咲かない原因は?
キョウチクトウの花が咲かない主な原因は、日照不足・剪定時期の誤り・肥料の過不足などです。特に前年の夏以降に強剪定を行うと、翌年の花芽が減少します。日当たりの良い場所に植え、リン酸を含む肥料を適量与えることが重要です。また、根詰まりや水の与えすぎも開花を妨げる要因になるため、環境を総合的に見直すことが効果的です。
キョウチクトウはどの季節に咲く?
キョウチクトウの開花時期は6月~9月です。温暖な地域では5月下旬から咲き始め、気温が高いほど開花期間も長くなります。一方、寒冷地では開花が遅れる場合があります。品種や栽培環境によって多少の差はあるものの、一般的には初夏から秋にかけて長期間咲き続けるのが特徴です。都市部でも開花が安定して見られるため、景観樹としても人気です。
キョウチクトウの花言葉にはどんな意味がある?
キョウチクトウの花言葉は「危険な愛」「油断大敵」「用心」。美しさと強い毒性を併せ持つ特徴から、警戒を促す意味が込められています。戦後の広島や長崎でいち早く花を咲かせた歴史から「希望」や「再生」の象徴とされる一方で、有毒植物としての認識が薄いと事故の原因にもなります。花言葉を理解することで、植物に対する適切な距離感が得られます。
キョウチクトウを植えるのに適した場所は?
キョウチクトウを植える際は、日当たりと水はけの良い場所が最適です。日光不足や過湿状態では成長や開花に悪影響が出ます。また、風通しがよく人の動線から離れた場所に植えることで、毒性リスクを下げられます。痩せた土地や砂地でも育つため、環境適応力は高いですが、家庭では子どもやペットの動線を避けた植栽が推奨されます。

