ガジュマルの剪定は5月〜9月の気温が高い時期が適しています。ガジュマルは熱帯性の観葉植物で、生長期に剪定を行うと新芽が出やすく、ダメージを最小限に抑えられます。特に5月〜7月が最も適したタイミングですが、暖かい地域では9月頃まで対応可能です。気温が15℃を下回る時期や冬の剪定は、回復が遅れやすく枯れる原因になるため避けましょう。
伸びすぎたガジュマルの枝はどこで切るのが正解?「葉の付け根」や「枝分かれ部分のすぐ上」で切るのが基本です。伸びすぎた枝は、元の枝との分岐点か、葉が生えているすぐ上を狙って剪定すると形よく仕上がります。切り戻す長さは全体の1/3〜1/2を目安にし、切り口が乾きやすいよう斜めにカットします。太い枝を切る際は殺菌処理や清潔な刃物の使用も忘れずに。強剪定は株に負担がかかるため、年1回程度が適切です。
剪定後のガジュマルが元気がないのはなぜ?剪定による水分バランスの乱れや環境ストレスが原因と考えられます。剪定直後は蒸散のバランスが崩れ、しおれたり葉が落ちたりすることがあります。また、切り口から細菌が侵入したり、光不足・水のやりすぎ・根詰まりが重なると、より弱りやすくなります。剪定後は風通しのよい明るい場所で管理し、土が乾いてから水やりを行うことで、回復を促せます。
独特の樹形と丸い葉が人気の観葉植物のガジュマルは丈夫で育てやすい反面、枝が伸びすぎて形が崩れてしまうこともあります。そんなときに必要なのが剪定です。タイミングを見て適切に枝をカットすれば、ガジュマルはより元気に、美しく育ちます。
そこで今回はガジュマルの剪定に適した時期や道具、初心者でも失敗しにくい剪定方法や増やし方を紹介します。ガジュマルを長く楽しむための基本を、わかりやすく学んでいきましょう。
ガジュマルとは?剪定が必要な理由

ガジュマル(学名: Ficus microcarpa)は、熱帯地域に広く分布するクワ科の常緑樹です。


ガジュマルの基本情報
ガジュマルは「精霊樹」とも呼ばれ、その独特な形状と神秘的な存在感から、多くの文化で神聖視されています。日本でも観葉植物として非常に人気があり、特に沖縄地方では庭木や街路樹としてよく見られます。
ガジュマルの特徴として、まず挙げられるのは独特な根の形状です。空気中に露出した気根が地面に垂れ下がり、まるで別の幹のように成長します。この気根が絡み合いながら成長する姿は、非常にユニークで美しいものです。
また、小さな実をつけることもありますが、観賞用としては葉や根の形状が主な魅力となります。
ガジュマルが人気の理由
ガジュマルが人気を集める理由は、その見た目の美しさと育てやすさでしょう。独特な根の形状と光沢のある葉が、部屋のインテリアとして非常に映えます。気根が地面に垂れ下がり、絡み合いながら成長する姿は、他の観葉植物にはない独自の魅力です。
また、ガジュマルは比較的育てやすい植物で、初心者でも手軽に育てられます。耐陰性があるため、室内の明るさに関係なく育ちやすく、乾燥にも強いので、頻繁に水をあげる必要がありません。
ガジュマルの剪定が必要な理由
ガジュマルの剪定は、ただ形を整えるだけでなく、健康維持や成長促進するために重要な作業です。定期的に適切な剪定をすることで、美しく健康なガジュマルを長く楽しめます。
①成長管理
ガジュマルは成長が早く、放っておくと大きくなりすぎることがあります。剪定することで成長をコントロールし、適切なサイズに保てます。ガジュマルの植え替えについては下記の記事で詳しく紹介しています。

②樹形の維持
ガジュマルを剪定しないで放置すると、不規則な形になりやすいです。剪定することで美しい樹形を維持し、観賞価値を高められます。気根や枝がバランスよく成長するように調整するといいでしょう。
③健康維持
不要な枝や葉を剪定することで、病気の予防や害虫の発生を抑えられます。風通しを良くし、日光が均等に行き渡るようにすることで、全体的な健康状態を改善します。

④新しい成長の促進
剪定することで、新しい芽や枝の成長を促進できます。古い枝を取り除くことで、新しい成長が活発になるため、植物全体の活力が増します。
ガジュマルの剪定に適した時期

ガジュマルの剪定は、植物にとってダメージを最小限に抑えながら形を整えるためにも、時期の見極めがとても大切です。適切なタイミングで行うことで、切った後の回復もスムーズになり、株全体が元気に育ちます。
ガジュマルの剪定時期
ガジュマルは暖かい時期にぐんぐん成長する植物です。5月~9月にかけての生育期は、剪定してもすぐに新しい芽が伸びやすく、形を整えるには最適なタイミングです。この時期なら剪定後のダメージも少なく、初心者でも失敗しにくいです。
逆に冬はガジュマルの成長が鈍る「休眠期」に入ります。この時期に剪定すると、傷口がふさがりにくく、枝が枯れ込んだり病気になったりするリスクが高まります。気温が低い時期の剪定は避け、必ず暖かくなってから剪定するようにしましょう。
ガジュマルを剪定する方法

ガジュマルは強い生命力を持ち、生育期にはぐんぐん枝葉を伸ばすため剪定は欠かせません。剪定方法は「切り戻し」と「丸坊主」の2種類あります。

ガジュマルを切り戻しする方法
伸びすぎた枝を切りそろえ、バランスを整えるために枝葉を切りそろえる剪定方法です。切り戻しする場合は、強く勢いのある枝から剪定しましょう。生育し過ぎた枝を切り戻すことで弱く細い枝に栄養が行き渡り、結果的に全体の生長に繋がります。
バランスのいいシルエットにするためにはイメージする形よりも、ひと回り小さくするのがポイントです。ガジュマルは伸びるのが早いため、思い切って切り落としても問題ありません。
切り戻しする時期は5月~6月の間であれば問題ありません。切り戻しの枝がたくさんある場合は、余裕を持って早めにしましょう。5月に剪定する必要がない場合は、その後の生長を見ながら6月中にバランスを整えるます。
準備物
- 園芸用手袋
- 剪定バサミまたはナイフ
- ノコギリ
- 癒合剤
ガジュマルはゴムの木なので、剪定した枝の切り口から白い液が出てきます。がぶれを防ぐため、手袋をつけると安心です。

ガジュマルを切り戻しする手順
- ガジュマルを切り戻して、完成後の形をイメージする。
- 高くなりすぎないよう、真上に伸びる枝の先端を切る。枯れている枝は根元から切り落とす。
- 飛び出すように外や内側に伸びている枝は、全体のバランスに合わせて切る。重なり合っている枝は、どちらかを根本か途中で切る。ガジュマルの生え際(根元)から生える枝を切る。
- 切り口に癒合剤を塗り、雑菌を防いで完了。

ガジュマルを丸坊主する方法
その名前のとおり、枝葉をすべて切り落として幹だけを残します。本来のガジュマルに戻す目的の剪定方法です。枝葉をすべて切り落としてエネルギーを芽吹きに集中できます。
十分な日当たりがない場所で育ち、枝が細い状態のまま伸びるなど本来の勢いがない場合に有効です。丸坊主剪定は普通に育っている場合は必要ありません。細く間延びした枝ばかりになってしまった時にします。枝葉をすべて切り取るため、5月に入って気温が安定してきたらしましょう。
準備物
- 園芸用手袋
- 剪定バサミ
ガジュマルを丸坊主する手順
- 丸みのある太い幹を残し、すべての枝葉を切り落とす。
- 切り終えたら、1週間ほど直射日光を避けて保管する。
- 新芽が出てきたら、日当たりのいい場所に置いて完了。
日当たりのいい場所に置き、水と肥料などを守っていれば元のしっかりとした姿に戻ります。
ガジュマルの剪定手順の動画
時間のある方は、以下の動画で手順をわかりやすく確認できます。
剪定後にガジュマルが元気なくなる原因と対処法

剪定後のガジュマルがしおれたり、葉が落ちたりすることがありますが、多くは一時的なストレスによるものです。適切なケアをすれば回復する可能性は十分あります。よくある原因と、それぞれの対処法について詳しく解説します。
気なくなる原因
- 日照不足
- 水の与えすぎ
- 剪定のやりすぎ
剪定後にガジュマルの元気がなくなる主な原因は、環境の変化によるストレスです。「急に日陰に移動させた」「水を与えすぎた」「一度に枝を切りすぎた」などがよくあるパターンです。これらのミスは根腐れや生育不良を引き起こしやすく、植物の回復を妨げてしまいます。
回復させるための管理方法
剪定後のガジュマルを回復させるには、まず明るい室内の半日陰に置いて安定した環境を整えることが大切です。土が乾いてから水を与えるようにし、過湿を避けましょう。
また、急に肥料を与えるのは逆効果なので、回復が確認できるまで控えるのが安心です。焦らず様子を見ることが大切です。
剪定後の水やりは普段より控えめにして、土が完全に乾いてから水を与えましょう。枝を切った時に出てくる白い液は樹液で、固まると切り口からの吸水性が落ちてしまうため注意が必要です。
剪定した枝を使ってガジュマルを増やす方法

剪定したガジュマルの枝は、ただ捨てるのではなく「挿し木」として再利用できます。正しく行えば、新しいガジュマルとして再び育てることが可能です。
挿し木に適した枝の選び方から、発根を促すための手順、成功率を上げるためのコツまで、初心者でもわかりやすく解説します。
適した枝の選び方
挿し木に使う枝は、若すぎず古すぎない「健康でやや硬めの枝」が理想です。葉が2〜3枚ついた10cm程度の枝を選びましょう。病気や傷みのある枝は避け、切り口がしっかりしているものを使うと発根率が高まります。剪定直後の枝を使いましょう。
挿し木のやり方
枝を観葉植物用の土などに半分ほど挿せば、挿し木は完成です。挿し木後はたっぷりの水やり、土が乾かないよう半日陰で管理しましょう。
1週間~2週間は風通しのいい屋外の木陰などに置き、3週間経過したら液肥をあげましょう。ガジュマルの挿し木は3ヶ月程度で根が張るといわれています。

成功率を上げるコツ
発根促進剤を使うと成功率がアップします。また、気温が20〜30℃の暖かい時期(5月〜9月)に行うと根が出やすくなります。挿した後は土が乾かないように注意しつつ、過湿にならないよう管理するのがポイントです。小まめな観察が挿し木成功のカギとなります。
不安を感じたらプロへ依頼するのがおすすめ
今回はガジュマルの剪定に適した時期や道具、初心者でも失敗しにくい剪定方法や増やし方を紹介しました。ガジュマルは、剪定をうまく取り入れることで、樹形を整えながら健康に育てられる観葉植物です。5月〜9月の生育期に行えば、切った後もスムーズに回復し、見た目も美しく保てます。
不要な枝を間引くことで風通しも良くなり、病害虫の予防にも効果的です。さらに、剪定した枝を使った挿し木で増やす楽しみもあります。
ただし、背が高くなりすぎた株や枝が混み合っている場合は、自分で剪定するのが難しいことも。無理に行うと植物を傷める原因にもなるため、不安がある場合は剪定のプロや植木の専門業者に依頼するのが安心です。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
ガジュマルの気根は剪定しても大丈夫?
気根は剪定しても問題ありませんが、観賞価値を考えて調整しましょう。ガジュマル特有の気根は切っても株の健康に影響はありません。ただし、気根はガジュマルの特徴の一つでもあるため、切りすぎると独特の樹形を損なう場合があります。見た目を整えたいときは、目立つものを数本カットする程度に留め、根本のバランスを見ながら剪定するのがおすすめです。
室内で育てているガジュマルも剪定すべき?
室内管理でも年1回の剪定で形を整えるのが理想です。ガジュマルは室内でも旺盛に育つため、放置すると枝が伸びすぎて形が乱れたり、葉が密集して風通しが悪くなります。定期的な剪定により、光がまんべんなく当たり、病害虫の予防にもつながります。コンパクトに保ちたい場合は軽めに整え、5〜7月頃の生長期に行うのが最も安全です。
太くなった幹や主枝も剪定できる?
幹や主枝も剪定可能ですが、時期と切り方に注意が必要です。ガジュマルは再生力が強いため、太くなった幹や主枝を剪定しても基本的には再び芽吹きます。ただし、生長期である5〜7月に行うのが理想で、冬季は避けるべきです。切り口は斜めにカットし、清潔な刃物を使って雑菌の侵入を防ぎましょう。切りすぎは株の弱りや枯れの原因になるため、全体の1/3以内にとどめるのが安全です。
剪定後に新芽が出るまでどれくらいかかる?
剪定から約2〜4週間で新芽が出るのが一般的です。ガジュマルは剪定後の回復が早く、気温が20℃以上ある環境では2週間前後で芽吹きが始まります。ただし、環境条件や個体差により時間がかかることもあります。光・温度・風通しが適切であれば発芽もスムーズになります。剪定直後に肥料を与えるのは避け、落ち着いてから生育をサポートしましょう。
剪定と植え替えを同時にしても問題ない?
生長期であれば同時に行っても問題ありません。5〜7月の暖かい時期であれば、ガジュマルの剪定と植え替えを同時に行うことは可能です。剪定で地上部の負担を軽くし、植え替えで根の環境を改善することで、バランスよく生育できます。ただし、両方を強くやりすぎると株にストレスがかかるため、剪定・根の整理ともに控えめに行うのが理想です。
ガジュマルの葉が茂りすぎたときの剪定方法は?
葉の密度を整えるためには、混み合った枝を間引く剪定が有効です。ガジュマルの葉が増えすぎて見た目が乱れた場合は、光や風が通るように枝の根元から間引くのが基本です。葉を一気に大量に落とすと株に負担がかかるため、全体の3割以内を目安に剪定すると安全です。バランスよく整えながら、内側に向かう枝や交差している枝を中心に取り除くと、自然な形に仕上がります。
剪定後に追肥や水やりで気をつけることは?
剪定直後は追肥を控え、水やりは土の乾き具合を見て調整しましょう。剪定直後のガジュマルは一時的にストレスを受けているため、すぐに肥料を与えるのは避けた方が無難です。新芽が動き始めてから緩効性肥料を与えると、生育を助ける効果があります。水やりは通常どおり、土の表面が乾いてから行うのが基本。過湿は根腐れの原因になるため、排水性のよい鉢と管理が重要です。