庭木の伐採に最適な季節は、一般的に秋から冬(11月〜2月)です。この時期は樹木の活動が鈍く、葉も落ちているため作業効率が高くなります。また、害虫の発生リスクも低く、周囲への影響を抑えられます。ただし、常緑樹や剪定との兼ね合いで適期が異なる場合もあるため、対象樹木の種類や地域の気候に応じた判断が必要です。
庭木の伐採には許可が必要?自治体によっては、庭木の伐採に関する条例や規制が定められていることがあります。保存樹木や景観保護区域に指定されている場合、無断で伐採すると罰則を受けることもあります。まずは地域の市区町村に確認を行い、必要に応じて許可を取ることが重要です。
電線や建物の近くにある庭木はどうやって伐採すればいいですか?電線や建物の近くにある庭木は、落下や接触による事故を防ぐためにも専門業者による対応が推奨されます。現地の状況に応じてロープで引っ張りながら伐採したり、高所作業車やクレーンを使うこともあります。安全性を確保するためにも自己判断での作業は避けましょう。
庭木が伸びすぎて景観を損ねたり、倒木のリスクが気になったりしていませんか?古くなった木や背の高い木は、放置すると近隣とのトラブルや害虫被害の原因になることもあります。
そこで今回は、初心者でも安全に行える庭木の伐採手順や必要な道具、自力での対応が難しい場合に備えて、業者に依頼する際の費用相場や選び方を紹介します。自宅の庭木を適切に管理したいとお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
DIYで伐採できる庭木の条件

庭木の伐採を自分で行いたいと考える方も多いですが、すべての木がDIYに適しているわけではありません。以下の4つの条件をすべて満たしていれば、比較的安全に作業できます。
- 高さが3m未満である
- 幹の直径が20cm未満である
- 電線や建物から十分な距離がある
- 傾斜のない平地に植えられている
これらの条件を1つでも満たさない場合、転倒事故や建物の損傷などのリスクが高まるため、専門の伐採業者に依頼するのが安全です。無理なDIYは大きなケガや損害につながる可能性があるため、判断は慎重に行いましょう。
庭木の手入れが目的なら剪定で十分なケースもあります。詳しくはこちらの庭木の剪定をご覧ください。
なぜ庭木の伐採が必要なのか?
庭木は年月とともに大きく成長し、さまざまなトラブルの原因になることがあります。以下のようなケースでは、早めの伐採を検討することが大切です。
- 台風や強風による倒木のリスク
- シロアリやスズメバチなどの害虫被害の温床になる
- 隣家や道路にはみ出し、近隣トラブルに発展する可能性がある
こうした問題を放置すると、建物の損壊や通行人への被害、さらには損害賠償などの法的責任に発展するおそれもあります。庭木の伐採は、安全性の確保と周囲との良好な関係を保つための予防策として有効です。
伐採するのに適した時期
庭木を伐採するのは、冬(12月~2月)が最も適しています。
冬は木が乾燥して軽くなる
木は冬になると休眠期に入り、地下から水を吸い上げなくなります。そうなると木は乾燥して軽くなります。そのため冬は他の時期よりも古木を伐採しやすいといわれています。
伐採による処分費用は木の重さで決まります。木の重量が軽いほど処分にかかる費用も少なくなるので、そういった意味でも冬の時期の伐採がオススメです。
枝だけになって作業がしやすい
落葉樹の場合は冬に葉が落ちて枝だけの状態になります。枝だけの状態になると見通しがよくなり安全に伐採できます。葉が落ちることによって全体の重さが軽くなり、その分の負担を減らせます。
適した時期ではなくても庭木が成長しすぎて近隣や公道に迷惑がかかっている場合は、できるだけ早く伐採しましょう。4月~5月、7月~8月もよく伐採される時期なので「伐採は必ず冬にやるべき!」ということはありません。状況によって時期に関係なく伐採するといいでしょう。
初心者でもできる庭木の伐採手順

実際に庭木を伐採する前にすることは、古木と同じでそれはお祓いです。日本では木に精霊が宿るといわれており、木を伐採するのはあまりよくありません。そこでお祓いをしてから伐採するといいでしょう。
お祓い
自分でお祓いする場合はお神酒をお供えして、盛塩して手を合わせるといいでしょう。ただ手を合わせるのではなく、感謝の気持ちなど込めて手を合わせましょう。お祓い方法が分からない場合や、専門の人に依頼したい場合は近くの神社に依頼するといいでしょう。
正しい手順と安全対策を守れば、初心者でも庭木を伐採できます。以下の流れに沿って進めましょう。
庭木を安全に伐採する基本手順

庭木の伐採に必要な道具と手順を紹介します。
準備物
- ノコギリ(手動または電動)
- 剪定バサミまたは、高枝切りバサミ
- ロープ
- 保護具(ヘルメット、手袋、保護メガネ、安全靴)
チェーンソーを操作する際は、キックバックによる事故を避けるため、常に慎重に作業してください。
庭木を伐採する手順
- 周囲に人や建物がないかを確認し、倒す方向を決める。
- 上部から不要な枝を切り落とし、作業スペース確保する。
- チェーンソーや手ノコで、木を倒す方向に向かって「受け口」を作る。
- 受け口の反対側から水平に切り込みを入れ、「受け口」を作る。
- 木が倒れたら、枝を切り分け、トラックやゴミ処理業者に出せるように整える。
伐採した木や枝は、燃えるゴミとして処理できる場合もありますが、大きな木の場合はリサイクルに回すことが推奨されます。木を処分する際は、市町村の廃棄ルールに従いましょう。
伐採した後に、残った根(切り株)を抜くことを抜根といいます。非常に大切な作業ですが、素人がするのはに難しい作業です
伐採する時の注意点
作業をする場所周辺に人や物がないかを確認し、倒れる方向を正確に計算します。万が一の事故に備えて、作業エリアは広めに確保しましょう。また、倒す木がどの方向に倒れるかを予測し、倒れやすい場所を選びましょう。木の傾きや風向きなども考慮しましょう。
参考:チェーンソーを用いた伐木作業安全マニュアル 森林環境リアライズ
参考:伐木作業・林業における安全対策 厚生労働省
業者に伐採を依頼した場合の費用相場

業者に依頼する場合どのような内訳で、費用相場はどのくらいなのか気になる事がたくさんあります。伐採の作業費用の内訳は大きく分けると2つに分かれます。
- 伐採の作業費用
- 伐採した木を搬出して処分する費用
作業費は木を切るための必要です。木の高さや木の状態によっても費用が変わってきます。搬出と処分費は木を伐採した後の処分や、搬出にかかる費用です。まずは内訳を知り、どこに費用がかかっているのかを把握しましょう。
作業費用は木の大きさや使用する重機によって変わります。
伐採の費用相場
- 【高さ3m未満】・・・9,000円~30,000円程度
- 【高さ3~5m】・・・28,000円~50,000円程度
- 【高さ5m以上】・・・45,000円~80,000円程度
使用する重機が増えたり、人数が増えることでさらに費用も増えてきます。クレーンを使用すれば80,000円~100,000円が別途必要になります。
また、ユンボを使用すれば20,000円~50,000円が別途必要になります。伐採の費用相場を知り、自分が依頼する業者は正しい金額を提示しているのかを確かめましょう。残土の処分については下記の記事で詳しく紹介しています。
不安を感じたらプロへ依頼するのがおすすめ
今回は初心者でも安全に行える庭木の伐採手順や必要な道具、自力での対応が難しい場合に備えて、業者に依頼する際の費用相場や選び方を紹介しました。庭木の伐採は、安全面や近隣への配慮をしながら進める必要があるため、正しい手順や知識が欠かせません。
高さ3m未満の小木であればDIYも可能ですが、高木や障害物が近い場所では思わぬ事故やトラブルにつながる恐れもあります。
また、伐採後の処分や根の撤去には手間とコストがかかるため、費用相場を把握したうえで判断することが大切です。少しでも不安がある場合は、無理をせずに実績ある伐採業者に相談・依頼することをおすすめします。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
庭木の伐採後に残る切り株はどう処理すればいいですか?
伐採後に残った切り株は、見た目が悪くなるだけでなく、害虫の発生源になることもあります。処理方法としては、重機などで根から抜く「抜根」や、薬剤・腐食を利用して自然に分解させる方法があります。庭の使い方や予算に応じて処理方法を選ぶことが大切です。
自分で庭木を伐採する場合、どのような道具が必要ですか?
DIYで庭木を伐採するには、手ノコギリやチェーンソー、安全のためのヘルメット・保護メガネ・作業手袋などが必要です。ただし、高さ3メートル以上の木や電線・建物に近い場所では、事故のリスクが高まるため個人作業は危険です。不安がある場合は専門業者に相談してください。
庭木を伐採した木の処分はどうすればよいですか?
伐採後に出た木材や枝は、自治体のルールに従って可燃ごみや粗大ごみとして処分する方法と、業者に回収を依頼する方法があります。量が多い場合や大型の幹がある場合は、自力での運搬が困難なため、伐採作業とあわせて処分まで対応してくれる業者に任せるのが一般的です。料金は伐採費とは別途になることが多いため、見積もりの際に確認しておくと安心です。
伐採と剪定の違いは何ですか?どちらを選ぶべきですか?
剪定は木の一部を切って形を整えたり、不要な枝を除去する作業で、植物の健康を保つ目的があります。一方、伐採は木全体を根元から切る作業で、不要になった木を完全に撤去するケースに行われます。木が枯れていたり、倒木のリスクがある場合は伐採が適切です。景観の維持や育成目的なら剪定が推奨されます。
台風前に庭木を伐採すべきケースにはどのような特徴がありますか?
傾いている木や、幹が空洞化している木、大きく成長しすぎて電線や建物に接近している木は、台風の強風で倒れるリスクがあります。こうした木は早めに伐採することで、周囲への被害を防ぐことができます。また、枝が密集していると風の抵抗を受けやすくなるため、剪定だけでも有効です。事前の点検と専門業者による判断が、安全対策につながります。
自治体の補助金や助成制度で庭木の伐採は対応していますか?
一部の自治体では、防災や景観保全、空き家対策の一環として庭木の伐採に補助金が出ることがあります。特に高齢者宅や空き家の管理を目的とした制度が多く、条件や対象範囲は地域によって異なります。申請には事前の相談や書類提出が必要な場合が多いため、お住まいの市区町村役所や公式サイトで最新情報を確認しておきましょう。
ご近所トラブルを避けるための庭木伐採時のマナーはありますか?
庭木の伐採は、作業音や切り倒す木の大きさによっては近隣に迷惑をかける場合があります。トラブルを避けるためには、作業前に隣家へあいさつや事前説明を行うのが望ましいです。また、早朝や夜間の作業は避け、作業時間は日中に限定するのが一般的なマナーです。信頼できる業者であれば、近隣配慮や安全対策も含めて丁寧に対応してくれます。

