結論として、霜が3〜5mmになった段階で実施します。放置は電気代増と温度ムラを招くため、直冷は計画的に、ファン式も大量付着時は点検と清掃を行います。
冷凍庫の霜取りは電源を切らずにできますか?可能です。温タオルで霜を軟化し、プラ製ヘラで水平に滑らせて外し、水分は即回収します。面ごとに短時間で開閉し、電装部やファンを濡らさないように進めます。
直冷式とファン式で霜取りの手順は違いますか?違います。直冷は手動霜取りが前提で厚い板状霜は運転停止が有効です。ファン式は自動霜取り中心で、パッキンや排水の詰まり点検と部分除去を優先します。
冷凍庫の中に霜が増えると、電気代が上がり、冷え方にムラが出たり、ドアが閉まりにくくなったりします。
そこで今回は、霜取りする判断基準や、電源を切らずに行う応急処置、しっかり取り除くための安全な手順を紹介します。さらに、直冷式とファン式の違いや注意すべき点、再発を防ぐコツも解説します。冬の低室温を活用すれば、短時間で省エネと衛生を両立できる霜取りのコツが身につきます。
冷凍庫の霜取りは必要なの?

冷凍庫の霜は、電気代の上昇や庫内温度の不安定化、ドアの密閉悪化につながります。霜の厚みが3〜5mmを超えたら計画的に霜取りを実施しましょう。
直冷式は定期的な手入れが前提で、ファン式でも大量の霜が育つ場合は原因点検と清掃が必要です。
霜は冷却面の熱交換を妨げ、コンプレッサーの稼働時間を延ばします。結果として電気代が上がり、設定温度まで下がりにくくなります。ドア周りに霜が付くとパッキンの密着が弱まり、結露と再凍結が進んで問題が拡大します。
霜取りの判断基準
- 霜の厚みが3〜5mm以上に達している場合は実施の合図
- ドアの開閉が重い、または閉まりが悪くパッキンに氷が付く
- 冷えが弱い、霜焼けが増えた、温度ムラが目立つと感じる
- 直冷式は月1回〜数か月に1回を目安
冷蔵庫の適正温度については下記の記事で詳しく紹介しています。
冷蔵庫の電源を切らないで霜取りする方法

短時間で終わらせたいときの応急手順です。庫内の冷気ロスを抑えながら、付着した霜だけを狙って落とします。安全と食品保護を最優先にし、電装品やファン周りを濡らさないことを徹底してください。
準備物
- 吸水タオル数枚
- プラスチック製ヘラ
- ぬるま湯のスプレーボトルまたは温タオル
- 受け皿
手順
- 霜の厚い面だけを開け、他の面はできるだけ閉めて冷気を逃がさない。
- 霜部分に温タオルを10〜20秒軽く当て、表層だけを軟化させる。
- ぬるま湯をミスト状に1〜2回だけ吹き、タオルで直ちに水分を回収する。
- 柔らかくなった霜をプラスチックヘラで水平に滑らせて外し、落ちた氷片はすぐ受け皿へ集める。
- 1面が終わったら庫内を一度閉めて2〜3分冷やし直し、次の面に移る。
- 仕上げに吸水タオルで水分を完全に拭き取り、ドアパッキンの水気も乾拭きする。
運転停止して霜を一気に取る方法

厚い板状の霜やドアが閉まりにくいほどの付着には、運転停止での本格霜取りが安全で確実です。
巨大な霜で庫内スペースが狭い、パッキン周りが凍ってドアが固い、温度ムラや霜焼けが増えたときは運転停止での霜取りが適します。ファン式でも排水まわりの凍結や異音が出る場合は一度リセットすると回復しやすくなります。
なかなか霜が取れない場合は冷蔵庫の運転を止めて、冷蔵庫内を室温にして霜を溶かしましょう。
準備物
- クーラーボックス
- 温タオル
- 受け皿
- プラスチック製ヘラ
冷蔵庫の運転を止める手順
- 電源を切り、食品をすべて取り出しクーラーボックスに入れる。
- ドアを全開にし、庫内に温タオルを当てて霜の表層を軟化させます。
- 受け皿で落氷と解け水を受けながら、プラスチック製ヘラで水平に滑らせて霜を外す。
- 霜が厚い面にはボウルのぬるま湯を庫内に置き、扉を半閉じにして5〜10分待つ。
- 蒸気で密着が緩んだところでヘラを入れて取る。
- 途中で解けた水を吸水タオルでこまめに回収し、排水口やドレン受けに氷片が詰まらないようにする。
- 電源を入れて空運転で10〜20分予冷し、設定温度に戻ったら食品を戻す。
冷蔵庫の収納ポイントについては下記の記事で詳しく紹介しています。
冷凍庫の霜取りでやってはいけないNG

霜取りを早く終わらせたいほど、道具選びと温度管理のミスが故障やケガにつながります。次の行為は避けて、安全な代替手順を選びましょう。
ドライヤーを近距離で当てるのは避ける
庫内樹脂やドアパッキンが局所的に高温となり、変形や硬化で密閉性が落ちます。温度センサーの誤作動や、電装部への結露逆流による故障の原因にもなります。延長コードを使った無理な体勢は感電や、転倒の危険があるためやめましょう。
熱湯をかけるのは避ける
急激な温度差で庫内壁のひび割れや歪みが起きることがあります。接着部やシーリングが弱ると水漏れや結露が増え、再び霜が育ちやすくなります。蒸気が電装部へ回りこむと故障リスクが上がるため、熱湯の直接使用は行わないでください。
金属ヘラやナイフでこじるのは避ける
冷却管や庫内ライナーを傷つけると修理が高額になります。微細なキズでも霜が再付着しやすくなり、悪循環が続きます。力任せにこじる作業は滑って手を傷つける事故にもつながるため、金属工具の使用はやめましょう。
その他の避けたい行為
- アルコールや強溶剤のスプレーを吹き付ける行為は樹脂やパッキン劣化の原因になる
- スチームクリーナーを庫内に向ける行為は高温水蒸気が電装部へ入り込み故障につながる
- ヒーターやこたつの温風を庫内へ当てる行為は過熱や転倒の危険がある
直冷式とファン式(自動霜取り)で手順は違う?

直冷式とファン式では霜の付き方も処置の優先順位も異なります。まずは自宅の冷凍庫の方式を見極め、方式ごとの最短ルートで進めましょう。
- 【直冷式】:冷却板が庫内に見えており、その板や壁面に霜が直接育つ。静音で構造がシンプル。型番表示や取説に直冷と記載されることが多い
- 【ファン式(間冷式・自動霜取り)】:庫内に通風口やファンガードがあり、壁面の霜は少なめだが隅やパッキン周りに氷が出やすい。自動霜取り機能が搭載される
直冷式の基本手順
手順
- 厚みが3〜5mmに達したら計画的に霜取りする
- 電源を切らずに行う場合は面ごとに短時間で開閉し、温タオルとプラスチック製ヘラで表層を落とす
- 巨大な板状霜は運転停止で一気に落とし、最後に乾拭きと空運転で庫内を乾燥させる
- 再発防止として、温かい食品は冷ましてから入れ、通風を妨げない配置にする
ファン式の基本手順
手順
- 自動霜取りが機能していれば日常的な作業は最小限で、ドアの開放時間を減らし、詰め込みを避ける
- 霜や氷が目立つ場合は、まずパッキン汚れや変形、通風口のふさがり、排水口や受け皿の詰まりを点検する
- 付着部位が限定的なら温タオルとプラスチック製ヘラで部分除去し、水分は直ちに回収する
- 異音、水漏れ、排水口の凍結が続く場合は運転停止で全面霜取りし、乾燥後に再起動する
冷凍庫に霜が付かないように予防するポイント

霜は湿気の持ち込みと温度差、冷気の流れ不足で増えます。日々の使い方を数点見直すだけで、冷凍庫の霜取り頻度を大きく減らせます。
食材を詰め込み過ぎない
食材を詰めすぎると冷凍庫の冷気がまわりにくくなり、結果的に霜ができる原因となります。特に冷気が出てくる穴の前には、食材を置きすぎないようにしましょう。
ドアを開けたらすぐ閉める
ドアを開けたままにしていると霜の原因である結露が発生します。ドアはしっかり閉めて、開けたらすぐに閉めるようにしましょう。
食材を入れる時は冷ましてから入れる
食材を冷凍庫に入れる時はしっかりと冷ますことが大切です。温度差は霜の原因になります。ラップをかける場合は隙間がないようにすることで、食材から水分が蒸発するのを防ぎ霜予防につながります。
霜取り不要の冷蔵庫にする
霜取り不要の冷蔵庫もあるので「霜を取る時間がない…」「霜取りは面倒だな…」と感じる人は、霜取り不要の冷蔵庫を選ぶことをオススメします。冷蔵庫のおすすめや、一人暮らしにおすすめの冷蔵庫については下記の記事で詳しく紹介しています。
手に負えない時はプロへ依頼するのがおすすめ
今回は霜取りする判断基準や、電源を切らずに行う応急処置、しっかり取り除くための安全な手順を紹介しました。冷凍庫の霜は厚くなるほど熱交換を妨げ、稼働時間が長くなり、電気代の上昇や庫内温度の不安定を招きます。霜が3〜5mm程度になった時点で対処するのが理想です。状況に応じて、電源を切らずに行う短時間の霜取りと、運転を停止して行う本格的な除去を使い分けましょう。
冷凍庫の霜取りは時間と手間がかかる作業です。作業が難しい場合や時間を確保できないときは、冷凍庫の霜取りに対応できる冷蔵庫クリーニング業者に依頼し、安全かつ確実に仕上げるのがおすすめです。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
霜取りの所要時間はどのくらいですか?
軽い付着なら電源を切らずに10〜15分で表層を落とせます。板状の巨大霜は運転停止で30〜60分が目安です。水分を確実に回収し、最後に乾拭きと空運転で乾燥させると効率が上がり、省エネと清掃の両立に役立ちます。
霜取りのとき食品はどう保管すれば安全ですか?
短時間なら庫内の未作業面を閉めて冷気を保持し、作業面だけ開けます。長時間はクーラーボックスと保冷剤で温度上昇を抑えます。戻す前に空運転で予冷し、庫内温度の安定を確かめると品質と省エネに有利です。
巨大な霜があるときの最短の進め方は?
電源を切り、全量取り出し後に温タオルで軟化→プラ製ヘラで水平に外します。途中は解け水をこまめに回収し、仕上げは乾拭きと送風で完全乾燥します。再起動後に予冷してから収納すると冷却効率と電気代の面で有利です。
なぜドライヤーや熱湯がNGなのですか?
樹脂やパッキンが局所的に過熱し変形して密閉性が落ち、結露で電装部に水が回れば故障リスクが上がります。温度センサーの誤作動や割れも起こり得ます。温タオルとプラ製ヘラの低リスク手順が安全で、機器寿命延長にも役立ちます。
直冷式で霜が育ちやすい理由と対処のコツは?
冷却板が露出しており結露→凍結が面で進みます。厚み3〜5mmで計画的に除去し、面ごとの短時間開閉と水分即回収で作業します。巨大霜は運転停止で一気に処理し、乾拭きと空運転で仕上げるとコンプレッサー負荷と電気代を抑えられます。
ファン式で氷や水漏れが続くときの確認点は?
まずパッキンの汚れ・変形、通風口のふさがり、排水口や受け皿の詰まりを点検します。改善しない異音や水漏れが続く場合は運転停止で全面除去し、乾燥後に再起動します。排水の詰まり解消は冷却効率と省エネに直結します。
再発防止のための収納量と使い方の目安は?
庫内はおおむね七割収納を目安にし、通風口や冷却面の前を空けます。開閉はまとめて短時間で行い、温かい食品は冷まして密閉してから入れます。これで冷気の流れが保たれ、温度ムラが減り、モーターやコンプレッサーの負担も軽くなります。
作業後の仕上げで重要なポイントは何ですか?
解けた水分を完全に拭き取り、ドアパッキンまで乾拭きします。再起動後は空運転で10〜20分予冷し、設定温度に戻ってから収納します。仕上げ乾燥と予冷は冷却効率の回復に直結し、稼働時間短縮と電気代の抑制に効果があります。
作業に使う道具は何を選べば安全ですか?
吸水タオル、プラスチック製ヘラ、温タオル、受け皿、必要に応じてスプレーボトルのぬるま湯を用意します。金属ヘラや強溶剤、スチーム機器は避けます。適切な道具選びは清掃効率を上げつつ故障を防ぎ、機器の寿命延長に寄与します。
忙しくて時間がない場合の現実的な選択肢は?
軽い付着は電源を切らずに短時間で応急除去し、厚い板状霜や水漏れ・異音がある場合は運転停止で本格除去に切り替えます。難しいケースや安全に不安がある場合は冷蔵庫クリーニングの専門業者を活用すると確実で省力です。

