キッチンハイターは、まな板・ふきん・排水口・スポンジ・食器の除菌や漂白に使用できます。使用前に水で薄め、10〜30分程度つけ置きした後、しっかり水洗いするのが基本です。
キッチンハイターの使い方を間違えるとどうなる?キッチンハイターの使い方を誤ると、塩素臭の残留や金属のサビ、布製品の色落ちなどのトラブルが発生します。酸性洗剤と混ぜると有毒ガスが出るため絶対に避ける必要があります。使用前には対象素材を確認し、換気をしながらゴム手袋を使用し、使用後はしっかり洗い流すことが重要です。
キッチンハイターは木製まな板にも使える?木製まな板への使用は基本的に避けた方が安全です。キッチンハイターは強い漂白成分を含むため、木の繊維を傷めたり、変色・におい残りの原因になります。プラスチック製や合成樹脂製まな板であれば使用可能ですが、素材に合った除菌方法を選ぶことがまな板の寿命を保つポイントです。
キッチンの除菌や漂白に便利な「キッチンハイター」ですが、すべての素材に使っていいわけではありません。特にステンレスや木製品など、素材によっては使い方に注意が必要です。
そこで今回キッチンハイターを安全に使うための正しい方法を素材別にわかりやすく紹介します。ステンレスの変色リスクや、木製まな板の劣化を防ぐポイントも合わせて紹介します。使ってよい素材・NGな素材を明確にしながら、清潔なキッチンを保つコツをまとめました。
キッチンハイターとは?

キッチンハイターの基本的な性質を理解することで、安全な使い方の前提が分かります。キッチンハイターは、花王が販売している塩素系漂白剤で、主成分は「次亜塩素酸ナトリウム」です。この成分には強力な除菌・漂白・消臭作用があり、食器やふきん、排水口などの衛生管理に広く使われています。
なお、キッチンハイターすべての菌やウイルスに有効というわけではありませんので留意してください。
キッチンハイターには、液状のつけおきタイプのものと泡状で使いやすいスプレータイプ(キッチン泡ハイター)の2種類があるので、用途別に使いわけましょう。


【参考】
花王|製品カタログ|キッチンハイター
「キッチンハイター」と類似品「キッチンブリーチ」の違いは?
キッチンハイターは花王が開発し、製造販売している人気の台所用塩素系漂白剤です。キッチンハイターとは別に他社類似品の「キッチンブリーチ」という商品もあります。これらの大きな違いは製造元の違いだけです。どちらも同じアルカリ性の台所用漂白剤なので、機能的には大差ありません。
また、成分的にも大きな違いはなく、洗剤成分として使われる界面活性剤が異なるだけです。

キッチンハイターもキッチンブリーチも、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした漂白剤であるため効果は同じです。キッチンハイターの方が優れているということはありません。
キッチンハイター使用時の注意点

キッチンハイターは次亜塩素酸ナトリウムを含み、強いアルカリ性であるため、使用上の注意点をきちんと読んで使用しましょう。誤った使い方をすると死亡事故につながる恐れや健康を損なう恐れがあります。
以下に、キッチンハイターの使い方に関する注意事項を解説するので、厳守してくださいね。
酸素系漂白剤や酸性洗剤などを混ぜない
酸性の液体(酸性洗剤や酸素系漂白剤、食酢など)やアルコール(お酒など)と一緒に使ったり、混ぜたりすると、化学反応を起こし、猛毒の塩素ガスが発生します。命の危険や健康を損なう恐れがあるため、キッチンハイターは単独で使用しましょう。
商品ラベルに注意書きがあるので、よく確認してくださいね。
必ず換気する
十分に換気せずに使うと、エアロゾルや有毒成分を吸入してしまい、体調が悪くなってしまう危険性があります。
必ず手袋などを装着する
キッチンハイターは強いアルカリ性の漂白剤であるため、手袋を着用しないと皮膚の表面が溶け傷めたり、手がかぶれたりします。
また、原液が目に入ると失明の恐れがあるため、メガネや簡易ゴーグルを着けると安心です。なお、マスク着用により多少でも吸引を防げるため、マスクを着けることもおすすめです。
使用後は水洗いまたは水拭きをする
キッチンハイターを使用した場所は、水回りであれば水洗いをしましょう。また、ドアノブなどの水洗いできない場所では、触っても大丈夫なように水を絞った雑巾などで水拭きをしてください。
もし、水洗いや水拭きを怠ると、使う人に健康上の危険を招く恐れがあります。十分、注意してください。
薄め液はスプレーボトルに入れて使用しない
キッチンハイターは強アルカリ性であり、人体に有害です。薄めても健康を害する恐れがあります。スプレーボトルに入れて使用すると、噴霧により広範囲に次亜塩素酸ナトリウム入りのミストが拡散し、目に入ったり、吸い込んだりする危険性が高まります。
また、皮膚に付着する恐れもあり、健康被害に配慮して、スプレーボトルに入れるのは絶対にやめましょう。
薄め液を他の容器に入れて保管しない
キッチンハイターを薄めた液は、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が薄まっており、分解が進みやすくなるため、すぐに効果がなくなります。使う直前に必要な分だけ作製しましょう。
キッチンハイターを使う際は注意事項をよく読んで、気を付けて使用しましょう。そうすることで、安全に掃除ができます。
キッチンハイターが使えるのもの・使えないもの

キッチンハイターは塩素系漂白剤であるため、使えないものがあります。使用前に確認が必要です。使えないものについては、後ほど解説します。
また、材質が不明なものや木製品に使用すると変色や変質を起こすことがあるので、目立たない場所で確認することが必要です。
なお、キッチンハイターが使えるものは以下となります。
キッチンハイターが使えるもの
- 白無地のふきん
- おしぼり
- プラスチック製品(メラミン除く)
- ステンレス製品
- シリコン製品
- ナイロン製品
- 人口大理石
- 陶器
- ガラス器
- 木
- 竹製品
キッチンハイターが使えないものや使えない場所があるので、注意が必要です。以下に、解説します。
キッチンハイターが使えないものや場所
- 金属系のもの(ステンレスは除く)
- アルミ製のもの
- メラミン食器
- 水洗いできない製品や場所(絞った雑巾で拭くことは可能)
- 天然石の調理器具や設備
- アルミ製のもの
- 獣毛のハケなど
- 「塩素系は使えない」と表示がある
- 色柄物の繊維製品
このように金属系やアルミは塩素系には弱く、腐食して穴があいたりさびたりする恐れがあるため使用は避けましょう。キッチンハイターを使用した後は水洗いが推奨されているので、基本的には水洗いできないものや場所には使えません。
ステンレス製品にキッチンハイターを使用する時の注意点

- 10分以内の短時間ですませる
- 使用後は水でしっかりすすぐ
- ステンレスシンク内で直接つけおきしない
ふきんやスポンジをつけおく際は、別容器を使って処理するのが安全です。
木製品にキッチンハイターを使用する時の注意点
木製品への使用には十分な注意が必要ですが、適切に使えば除菌目的で活用できます。木は多孔質で、液体を吸収しやすい素材です。実際、一般的な木材は重量の30%近くまで水分を吸収する性質があるとされており(出典:木材物性ハンドブック)、そのため長時間の使用は素材自体を劣化させてしまう恐れがあります。ただし、まな板の表面に繁殖しやすい雑菌の除去には一定の効果があります。
安全な使い方の手順
キッチンハイターの使い方手順
- キッチンハイターを規定の倍率で希釈する
- ふきんなどに含ませてまな板の表面を拭く
- 5分以内で拭き取り、流水でしっかり洗い流す
- 風通しの良い場所で完全に乾かす
木製カッティングボードや天然木の食器などは、キッチンハイターに向かない場合が多いため、目立たない箇所でテストするのが安心です。
キッチンハイターで水回りを掃除する方法

キッチンハイターは主に食器やタオルなどを消毒したり、汚れを落としたりするために使用します。また、それだけでなく、台所やトイレなど黒ずみやカビを「消毒したい!」という場合にも流用できるのがキッチンハイターの利点です。
台所用やトイレ用のキッチンハイターも販売されているので、用途にあったハイターを使用するのが最適ですが、専用のハイターがない場合は普通のキッチンハイターでも代用できます。
なお、キッチンハイターの使用においては、前述の注意事項を守りましょう。
キッチン周りと換気扇を掃除する方法
準備物
- キッチンハイター
- 換気扇が入る大きさの容器(バケツやタライなど)
- 雑巾
キッチン周りと換気扇を掃除する手順
- お湯を5L入れたバケツなどにキッチンハイターをキャップ2杯(約25ml)入れて、ハイター薄め液を作る。
- 取り外した換気扇をこの薄め液に入れて、30分(汚れがひどい場合は1時間)つけ置きする。なお、バケツがない場合や換気扇が大きい場合は、シンクに大き目のビニール袋を広げてその中で薄め液を作りつけ置きしてもよい。
- 換気扇をつけ置きしている間に、シンクまわりを掃除する。ハイター薄め液に雑巾を浸してよく絞り、シンクまわりを拭く。
- 最後に水拭きすることで、黒ずみやカビなども拭き取れます。
- つけ置きした換気扇を取り出し、水でよく洗い、乾燥させて取り付ければ完了。
キッチン全体の掃除方法については下記の記事で詳しく紹介しています。

トイレを掃除する方法

準備物
- キッチンハイター
- ブラシ
- 雑巾
トイレを掃除する手順
- トイレの中にキッチンハイターの液を少しだけ流し入れて少し時間を置く。
- トイレブラシを使って便器をこすり洗いする。
- 1Lの水にキャップ0.4杯(10ml)のキッチンハイターを加えて薄め液を作り、これに浸した雑巾をよく絞ってから便座を拭く。
- 最後に便座を水拭きして完了。
重曹やクエン酸を使ってトイレ掃除する方法については下記の記事で詳しく紹介しています。

【参考】
身のまわりを清潔にしましょう。厚生労働省
キッチンハイターの有効期限を確認しよう

キッチンハイターの有効成分は次亜塩素酸ナトリウムであるため、実は有効期限があります。使用期限の目安は購入から3年です。
製造時に次亜塩素酸ナトリウム濃度を6%になるように調整していますが、時間とともに分解が進み、購入から1年程度で約半分の3%程度にまで減少します。これは直射日光が当たらず、高温で保管していない場合ですので、直射日光が当たる場所や高温保管はより減少が早く進みます。
購入して3年以上経過したキッチンハイターは、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が著しく低下している場合があるため、3年以内に使い切りましょう。3年を過ぎたものは大量の水で薄めて処分してください。
汚れが落とせない時はプロへ依頼するのがおすすめ
今回キッチンハイターを安全に使うための正しい方法を素材別にわかりやすく紹介しました。キッチンハイターはステンレスや木製品にも使えますが、素材ごとに適切な使い方を守ることが大切です。ステンレスには短時間の使用としっかりとしたすすぎを、木製品には吸水による劣化を防ぐための注意が必要です。
また、アルミや銅、漆器などには使用を避けるのが基本。正しく使えば、キッチンハイターは衛生管理に非常に有効なアイテムですが、頑固な汚れやカビが落ちない場合はプロの力を借りるのもひとつの手です。安心・確実に清潔な状態を保つなら、キッチンクリーニング業者への依頼も検討しましょう。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
キッチンハイターはステンレスに使っても大丈夫?
ステンレスにはキッチンハイターを使えますが、長時間の放置は避けるべきです。塩素成分が表面の酸化皮膜を破壊し、サビや変色の原因になる場合があります。使用する際は、水で薄めたハイターを数分だけなじませ、すぐに大量の水で洗い流すことが基本。必ず目立たない場所でテストしてから使用しましょう。
キッチンハイターで排水口のぬめりを落とす方法は?
排水口のぬめり取りには、キッチンハイターを直接かけて5〜10分放置するのが効果的です。その後、しっかり水で洗い流せば除菌・消臭効果も期待できます。ただし、金属部品にかかると腐食の原因になるため、使用頻度は週1〜2回程度にとどめましょう。塩素臭が気になる場合は換気を徹底してください。
ふきんやスポンジの除菌は何分?
ふきんやスポンジの除菌には、水1Lに対してキッチンハイター10ml(キャップ約半分)を入れ、2〜10分ほどつけおきするのが基本です。汚れがひどい場合は30分程度まで対応可能ですが、長時間放置すると素材を傷めることもあるため注意が必要です。
キッチンハイターを使ってはいけない素材は?
キッチンハイターは、アルミ・鉄・銅などの金属製品、木製品、大理石などの天然石には使えません。塩素系漂白剤が化学反応を起こし、変色や腐食を引き起こす恐れがあります。食器の装飾(金・銀彩)や色柄物の布製品も同様です。
キッチンハイターを使うときに必要な安全対策は?
キッチンハイターを使用する際は、必ず換気を行い、ゴム手袋を着用してください。注意すべき点は酸性洗剤や、クエン酸との併用です。混ぜると有毒な塩素ガスが発生し、命に関わる危険があります。また、目や皮膚への刺激も強いため、使用後は速やかに手を洗いましょう。安全に使用するためには、正しい取り扱いが不可欠です。
キッチンハイターの正しい濃度と希釈方法は?
キッチンハイターは原液のまま使用せず、水で適切に希釈する必要があります。標準的な濃度は「水1Lに対して10ml(キャップ半分)」が目安です。原液で使用すると素材を傷めたり、塩素臭が残る原因になります。特にステンレス製品やプラスチックには希釈使用が基本。使用前にパッケージ記載を確認しましょう。
キッチンハイターのにおいが気になるときの対処法は?
キッチンハイターの塩素臭が気になる場合は、使用中・使用後ともに窓を開けて換気扇を回すことが有効です。つけおき後に水で念入りにすすぐことで、におい残りを軽減できます。においが強く残った場合は、酢を少量加えた水ですすぐのも一手です。密閉空間では使用を避け、必ず通気性を確保してください。