素材で使い分けます。ステンレスは重曹・酢・中性可、アルミは中性・酢、鉄は空焚き、ホーローは重曹・中性のみ。空焚きは鉄以外NG。
アルミ鍋の焦げはどうやって取るのが安全ですか?中性洗剤か薄めた酢で短時間の加熱浸漬が安全です。重曹の高濃度や長時間使用、強いこすりは変色や腐食の原因になります。
鉄鍋の焦げは空焚きで落としても大丈夫ですか?鉄鍋は空焚きで除去できます。加熱後に水で冷ましヘラで落とし、再加熱で乾燥して薄く油を塗って保護します。他素材の空焚きは避けます。
鍋の焦げは見た目だけでなく衛生面の不安も残りますが、素材に合う方法を選べば無理なく落とせます。
そこで今回は鍋の焦げ取り方法や、素材別の注意点を紹介します。強くこすって傷を増やす前に、失敗例と安全対策を押さえて最短ルートでリセットしましょう。
キッチン全体の掃除方法については下記の記事で詳しく紹介しています。
重曹で鍋の焦げ付きを落とす方法

焦げを落とす方法として一般的なのは重曹を使った方法です。重曹は100円ショップやホームセンター、ドラッグストアなどで気軽に購入できます。
重曹で焦げ落としに向いている鍋
- ステンレス鍋
- ホーロー鍋
- 耐熱ガラス製の鍋
- 土鍋
重曹NGの鍋
- アルミ鍋
- 銅鍋
準備物
- 重曹
- スポンジ
重曹で鍋の焦げ付きを落とす手順
- 鍋の焦げが十分に浸かるくらいの量の水を入れる。
- 鍋に重曹を入れる。コップ1杯の水に対して、大さじ1の重曹を入れて溶かす。
- 鍋を弱火にかけ、沸騰しても10分程度そのまま火にかける。
- 10分経ったら火を止めて、そのまま半日以上放置する。
- お湯を捨てスポンジを使ってこすり洗いして完了。
焦げが取れない時は①~④を繰り返しましょう。
筆者も重曹を使って鍋の焦げを落としたことがありますが、軽い焦げ付きはすぐに落ちました。頑固な焦げは1回のお手入れでは思うように落ちませんでした。
酢やクエン酸を使って鍋の焦げを落とす方法

酢を使って鍋の焦げを落とす方法もあります。重曹や中性洗剤の時のようにつけ置きする必要がないので、忙しい時にオススメの方法です。
酢で焦げ落としに向いている鍋
- ステンレス鍋
- アルミ鍋
- ホーロー鍋
- 土鍋
酢がNGの鍋
- 鉄鍋(酢を使っても大丈夫ですが別の方法がベターです)
準備物
- 酢
- スポンジ
- 台所用中性洗剤
酢を使って鍋の焦げ付きを落とす手順
- 鍋の焦げが十分に浸かるくらいの量の水と酢を大さじ2杯入れる。
- 焦げ付きが気になる鍋を火にかけて沸騰させる。沸騰しても10分程度そのまま火にかける。
- お湯を捨てスポンジを使ってこすり洗いして完了。
焦げ付きが酷い場合は酢と一緒に台所用中性洗剤を大さじ2杯入れるとより効果的です。
スピーディーにお手入れできましたが、酢独特のニオイがキッチンに広がります。時間があれば、他の方法でお手入れしてもいいかもしれません。
中性洗剤で鍋の焦げ付きを落とす方法

普段使っている台所用の中性洗剤も、ちょっとした工夫で鍋の焦げ付きを落とせます。
中性洗剤で焦げ落としに向いている鍋
- アルミ鍋
- 銅鍋
中性洗剤NGの鍋
- 土鍋(つけ置きNG、鍋の表面にある小さな穴に洗剤が入り込んでしまう)
準備物
- 中性洗剤
- スポンジ
中性洗剤で鍋の焦げ付きを落とす手順
- 鍋の焦げが十分に浸かるくらいの量の水と中性洗剤を数滴入れる。
- 鍋を弱火にかけます。沸騰しても10分程度そのまま火にかける。
- 10分経ったら火を止めて、そのまま半日以上放置する。
- お湯を捨てスポンジを使ってこすり洗いして完了。
鍋に水と中性洗剤は大量に入れると泡立ってしまうので中性洗剤は数滴入れましょう。
台所用の中性洗剤は必ず家にあるため、思い立ったらすぐにお手入れできるのがいいところです。
空焚きして鍋の焦げ付きを落とす方法

鍋の焦げは空焚きすることでも落とせます。やり方はとても簡単なので、鉄鍋に焦げがある時は試してみてください。
空焚きが向いている鍋
- 鉄鍋
空焚きNGの鍋
- ステンレス鍋
- アルミ鍋
- テフロン加工の鍋
- ホーロー鍋
- 銅鍋
- ガラス鍋
- 土鍋
お手入れが大変なイメージがある鉄鍋ですが、この方法であれば面倒なことが苦手な人も簡単にお手入れできます。
準備物
- 金属製のヘラまたは金たわし
- 食用油
- ボウル
空焚きして鍋の焦げ付きを落とす手順
- 鍋の表面から煙が出るまで空焚きする。洗剤や水など何も入れずに空焚きする。
- 鍋が入るサイズのボウルまたはシンクに水をたっぷり張り、空焚きした鍋全体が浸かるように水の中に入れる。
- 鍋が冷えたらヘラやたわしを使って焦げをこすり落とす。
- 汚れを水洗いして水気を拭き取り、再度鍋を加熱し水分を蒸発させる。
- 食用油を鍋に塗って空焚きしてテカリがなくなったら完了。
鉄鍋は食用油を鍋に塗ってコーティングする作業も大切なので忘れずにしましょう。
鍋の素材別に焦げ取りするときの注意点

鍋の素材によって焦げ取りやお手入れの際には異なる注意点があります。それぞれの素材に適した方法を選ぶことで、鍋が長持ちして、美しい状態を保てます。
| 素材\方法 | 重曹 | 酢/クエン酸 | 中性洗剤 | 空焚き |
|---|---|---|---|---|
| ステンレス | ○ | ○ | ○ | × |
| アルミ(無垢) | △ | ○ | ○ | × |
| アルミ(硬質アルマイト・コート) | △ | △(メーカー指示優先) | ○ | × |
| 鉄・鋳鉄(スキレット等) | △ | △ | △ | ○ |
| ホーロー | ○ | △ | ○ | ×(空焚きNG) |
| フッ素樹脂 | △ | ○(薄めて短時間) | ○(基本はこれ) | × |
| 土鍋 | △ | △ | ○ | × |
(○=推奨、△=条件付きで可、×=不可)
ステンレス鍋
ステンレス鍋は耐久性が高いものの、表面が傷つきやすいという特徴があります。そのため、焦げ取りには金属たわしや強い研磨剤の使用を避けましょう。また、焦げを取るために強火で加熱すると鍋底が変色する可能性があるため、中火以下で作業するといいでしょう。
さらに、酸性の酢とアルカリ性の重曹を併用すると化学反応で効果が弱まるため、それぞれを別々に使うことをおすすめします。
アルミ鍋
アルミ鍋は軽量で扱いやすいですが、化学反応を起こしやすい素材です。焦げ取りには重曹やクエン酸の使用を避け、代わりに中性洗剤を使いましょう。これらの物質がアルミと反応すると、変色や腐食の原因になることがあります。また、アルミは柔らかい素材なので、強い摩擦を与えないように柔らかいスポンジや木べらで優しくお手入れしましょう。
ホーロー鍋
ホーロー鍋は表面がガラス質で美しい見た目が特徴ですが、衝撃や急激な温度変化に弱い素材です。焦げ取りには金属製のヘラやたわしを使用すると表面が傷ついてしまうため、柔らかいスポンジや中性洗剤を使うようにしましょう。
また、空焚きはコーティングが剥がれる原因になるため絶対に避けてください。見た目の美しさを保つためには、適切な温度での調理と丁寧なお手入れが欠かせません。
鋳鉄鍋(スキレット含む)
鋳鉄鍋は熱保持力が高く、使い込むほどに味が出る一方で、錆びやすいというデメリットがあります。焦げ取りの際には洗剤の使用を避け、塩や水を使ってこする方法が効果的です。洗剤を使うと表面の油膜が取れてしまい、錆びやすくなるため注意が必要です。また、水に長時間浸けると錆びが発生しやすくなるため、焦げ取り後は速やかに乾燥させましょう。
セラミック鍋
セラミック鍋は焦げ付きにくい加工が施されていますが、使い込むとコーティングが劣化する場合があります。焦げ取りには重曹と水を使った方法が適しており、柔らかいスポンジで優しくこすることで表面を傷つけずに焦げを落とせます。金属製の器具や強い研磨剤の使用はコーティングを傷つける原因になるため避けてください。
テフロン加工鍋
テフロン加工の鍋は焦げ付きにくい性質を持っていますが、加工が剥がれると焦げ付きやすくなります。焦げ取りには中性洗剤を使い、柔らかいスポンジで優しく洗うようにしましょう。特に、高温での加熱や空焚きは加工を剥がれやすくするため、使用時には注意しましょう。また、金属たわしや硬いブラシの使用は表面を傷つける原因となるため避けましょう。
鍋の焦げ取りで失敗しやすい・避けたい組み合わせ

「鍋の焦げ取り方法」を試す前に、素材と薬剤・熱の相性を押さえておくと失敗を防げます。下記の注意点を確認してから作業してください。
アルミと重曹(高濃度・長時間)
アルミはアルカリに弱く、濃い重曹を長く使うと酸化皮膜が傷み、黒ずみや白斑が出やすくなります。薄めた酢やクエン酸で短時間だけ中和し、その後は中性洗剤とやわらかいスポンジでやさしく洗いましょう。
ホーローと空焚き
ガラス質の釉薬は急加熱に弱く、空焚きはヒビや割れの原因になります。重曹を溶かした湯で軽く煮て汚れを浮かせるか、ぬるま湯に中性洗剤を溶かして漬け置きに切り替えると安心です。
フッ素樹脂(ノンスティック)と研磨・高温
メラミンや金属たわし、空焚きはコーティングの寿命を縮め、むしろ焦げ付きやすくなります。ぬるま湯でふやかしてから中性洗剤+やわらかいスポンジで落とし、こびりつきは竹べらや樹脂ヘラでそっと掻き取りましょう。
鉄・鋳鉄と長時間の酸漬け
酸はシーズニング層を剥がしやすく、サビの誘因になります。必要なときだけ短時間にとどめ、洗浄後はしっかり乾かして薄く油を塗り、保護膜を整えましょう。
土鍋の急冷・直火空焚き
温度差の衝撃でヒビや割れが起こりやすくなります。加熱後は自然に冷ましてから、焦げは中性洗剤のぬるま湯でふやかし、木べらでやさしく落とすのが安全です。
酸(酢・クエン酸)と塩素系の併用
混ぜると有毒ガスが発生する危険があります。同日に使わず、作業の合間は十分に水ですすいでから次の洗剤に切り替えてください。
金属ヘラとコーティング面
小傷が増えて、かえって焦げ付きやすくなります。木べら・樹脂ヘラ・竹べらなどの傷つきにくい道具を選びましょう。
鍋サイズ不一致と強火
五徳に比べて鍋底が小さいと炎が側面を舐め、外装や持ち手を焦がす原因になります。炎が鍋底の内側に収まる火力に調整し、五徳に合うサイズの鍋を使うと安全です。
鍋に焦げを作らないコツ

「鍋の焦げ取り方法」を探す前に、そもそも焦げを作らない型を身につけると失敗が激減します。
火力は中弱火を基準にする
ステンレスは水滴が玉になるまで予熱してから油をなじませ、すぐ食材を入れると張り付きにくくなります。ノンスティックは中火以下を守り、強火は短い仕上げ時だけにします。
食材の水分を拭き取る
表面の水滴は温度を奪い、蒸気爆発や焦げの原因になります。キッチンペーパーでしっかり拭き、塩は投入直前に振ると温度低下を抑えられます。
油は高煙点から始める
最初は米油や菜種油など高煙点の油を薄くひき、香り付けのバターやオリーブ油は後から足します。立ち上がりの温度管理が安定し、焦げにくくなります。
鍋は具材が一層で並ぶサイズを選ぶ
過密だと蒸れてムラや焦げが増え、広すぎると油が偏って局所的に過加熱になります。五徳との相性も含めて直径を合わせましょう。
糖分の多い料理は弱火でこまめに攪拌
デミグラスや甘だれ、みりん照り焼きは焦げやすい領域に入りやすい料理です。弱火を守り、底面をこまめにかき混ぜてカラメル化をコントロールします。
水張り沸騰リセットで立て直す
底がざらつき始めたら一度止め、鍋底が隠れる量の水を入れて弱火で数分沸かします。木べらで底をなぞって汚れを浮かせ、再開は中弱火からに戻します。
手に負えない時はプロへ依頼するのがおすすめ
今回は鍋の焦げ取り方法や、素材別の注意点を紹介しました。焦げ取りはまず素材の確認から始め、こする力ではなく化学反応と温度管理で落とすのが基本です。ステンレスは重曹や酢、アルミは中性洗剤、鉄は空焚き後の手入れが要点で、酸と塩素の混用やホーローの空焚きは避けます。
落ち切らない頑固な焦げや広範囲のこびり付き、時間が取れない場合は無理をせず、専門のキッチンクリーニング業者に依頼してください。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
素材別に避けるべき焦げ取り方法はありますか?
あります。鉄以外の空焚きは不可、アルミは重曹の濃度や長時間使用で変色しやすく、土鍋は中性洗剤のつけ置きが不向きです。素材により可否が分かれるため、表を確認してから選ぶと効率的です。
ホーロー鍋の焦げはどの方法が安全ですか?
中性洗剤や重曹でやさしく落とすのが安全です。ホーローはガラス質のため空焚きや金属たわしは表面を傷め、寿命を縮めます。急加熱を避け、低〜中火で作業すると仕上がりも安定します。
アルミ鍋で重曹は使わないほうがいいのですか?
高濃度や長時間は避けるのが無難です。アルミはアルカリに弱く、黒ずみや腐食の原因になります。薄めた酢や中性洗剤で短時間加熱浸漬し、柔らかいスポンジで清掃すると安全です。
鉄鍋の焦げ取りで空焚きを安全に行うコツは?
空焚きで焦げを炭化させてから冷却し、ヘラで除去します。再加熱で水分を飛ばし、薄く油を塗って保護すると防錆とコンディション維持に有効です。鉄以外は空焚きを避けてください。
酢での焦げ取りは時短と聞きますが注意点は?
短時間で作業できる一方、においが広がるため換気が必要です。ステンレスやアルミ、ホーローに向きますが、鉄は別手順がベターです。必要に応じて中性洗剤を少量併用すると効果が安定します。
中性洗剤で落とす場合の配合や放置時間は?
水に数滴の中性洗剤を入れて弱火で加熱し、その後は放置でふやかします。泡立ち過多は効率を下げるため入れ過ぎないのがコツ。仕上げはスポンジで優しくこすり、変色や故障リスクを抑えます。
重曹で落ちない頑固な焦げはどう進めれば良いですか?
重曹煮沸と放置を繰り返し、落ちにくい場合は素材に応じて酢や中性洗剤へ切り替えます。無理な研磨はコーティングの寿命を縮めるため避け、化学反応と温度管理で段階的に攻めるのが効率的です。
フッ素樹脂(ノンスティック)の焦げ取りで注意すべき点は?
研磨や空焚きは禁物です。中性洗剤と柔らかいスポンジで清掃し、硬いブラシや金属たわしは避けます。高温での加熱は劣化を早めるため、中火以下を守るとコーティングの寿命延長につながります。
土鍋の焦げ取りで避けるべき手順はありますか?
洗剤のつけ置きは避けます。表面の微細孔に洗剤が入り込みやすく、においや劣化の原因になります。中性洗剤は短時間で使い、やさしく洗浄するのが無難です。急冷や空焚きも避けてください。
作業後に長持ちさせるメンテナンスは?
素材に合った後処理が有効です。鉄は乾燥後に薄く油を塗って保護し、ホーローやフッ素樹脂は優しい清掃で表面を傷めないことがポイント。正しい手順を徹底すると再発防止と寿命延長に役立ちます。

