ステンレスの種類によって錆びやすさは異なります。一般的なSUS304は耐食性が高いものの、塩分や塩化物イオンに弱いため、海辺などでは錆びやすくなることがあります。一方、SUS316はモリブデンを含み、塩化物環境に対する耐性が高いため、海水や化学薬品を扱う環境で使用されます。
錆びたステンレスを元に戻すことは可能ですか?錆びたステンレスを元に戻すことは可能ですが、完全に元通りにするには限界があります。軽度の錆であれば、市販のステンレス用クリーナーや研磨剤を使って表面を磨き、不動態被膜を再生させられます。深刻な錆の場合は、サンドペーパーや研磨工具を使用し、その後保護剤で仕上げることで再発を防ぎます。ただし、深い損傷や腐食が進行している場合は修復が難しく、交換が必要になる場合もあります。
ステンレスは錆びに強い金属ですが、錆びないわけではありません。今回はステンレスが錆びる原因や、錆びの取り方を紹介します。
ネックレスのサビを落とす方法については下記の記事で詳しく紹介しています。

ステンレスの特徴

ステンレスは、鉄を主成分としながらも錆びにくい特性を持つ合金です。ステンレスの特徴を紹介します。
錆びにくい
ステンレスはまったく錆びないわけではなく「錆びにくい金属」です。英語では「Stainless Steel」と書き、すぐに錆びてしまう鉄に代わる金属として発明されました。
他の金属よりも酸化のスピードが遅く錆びにくい性質をもっているため、フライパンやシンク、ラックなどキッチンや洗面所など水回りによく使われています。
磁石が引っ付きにくい
ステンレスは鉄とクロムを混ぜて製造する際にニッケルが加えられています。ニッケルを加えることで、より錆びに強いステンレスができます。しかし、ニッケルが含まれていると磁性がなくなるため、ステンレスは磁石に引っ付きにくくなります。
ステンレスは含まれるクロムとニッケルの量によって磁石に引っ付くものと、引っ付かないものがあると覚えておきましょう。
錆びの毒性は低い
ステンレスにできた錆びの毒性は低いです。誤って摂取しても人体に悪影響が出るレベルではありません。しかし、摂取量が多くなれば何か影響が出る恐れがあります。日頃からお手入れして、錆びを発生させないように保つことが大切です。
ステンレスが錆びる原因は?

ステンレスは優れた耐食性を持つ金属であり、建築材や台所用品、医療機器など、さまざまな用途で使用されています。表面に形成される「不動態被膜」という薄い酸化層によって、錆びにくい性質を持つ点にあります。しかし、特定の条件下では錆びが発生することがあります。そこで錆びる原因を紹介します。
もらい錆び
錆びにくいはずのステンレスが錆びるのは「もらい錆び」が原因である場合が多いです。ステンレスが錆びたわけではありません。もらい錆びとはステンレス以外の金属製品の錆びが移ってしまうことをいいます。鉄製の鍋やフライパン、スチール缶などをステンレスの上に置きっぱなしにしている場合によく発生します。
酸化被膜が劣化している
ステンレスが錆びる原因は、酸化被膜の劣化も考えられます。ステンレスは錆びにくくなるように、酸化被膜という薄いバリアに覆われています。
しかし、酸化被膜は塩素に弱いため塩素系漂白剤や塩水、汗に含まれる塩素イオンによって剥がれ劣化する場合があります。
調味料の汚れ
ステンレスの酸化被膜は塩分を含んだ水に弱いです。塩や味噌、しょう油など塩分を含んだ調味料は酸化被膜を破壊してしまいます。
また、キッチンに飛び散った油が酸化すると錆びが発生します。調味料の汚れを掃除せず放置していると、ステンレスが錆びる原因につながります。
擦り傷がついている
ステンレスの表面を強く擦ることも錆びる原因になります。小さな傷から水分が内部の鉄に付着し錆びてしまいます。フライパンや鍋を洗う時や、シンクを洗う時は傷がつかないように注意しましょう。
ステンレスの錆落としする方法

ステンレスはその優れた耐食性から、多くの場面で使用される信頼性の高い素材です。しかし、使用環境や保管状況によっては、表面に汚れや錆が発生することがあります。ステンレスの錆落としする方法を紹介します。
メラミンスポンジを使って錆落としする
ステンレスの錆びを取る時は、表面を傷つけないことが大切です。目の粗いタワシでゴシゴシ擦ると被膜を剥がし錆びる原因を作ってしまいます。
軽めの錆びは、目の細かいメラミンスポンジを使って優しく擦り洗いしましょう。水を含ませて擦ることで取りやすくなります。

重曹を使って錆落としする
メラミンスポンジで取れない黒っぽい錆びには重曹を使いましょう。重曹はステンレスの表面を傷つけないため安心して使えます。
準備物
- 重曹(粉末)
- メラミンスポンジ
- 雑巾

重曹を使って錆落としする手順
- シンクを水洗いして汚れを落とす。
- 錆びに重曹を振りかけて5~10分放置する。
- 水を含ませたメラミンスポンジでやさしく擦り洗いして、水で洗い流す。
- 乾いた雑巾で水分を拭き取って完了。
クエン酸を使って錆落としする
ステンレスに赤茶色の錆びができることがあります。この赤錆びは水道水に含まれる微量の鉄分が反応してできる錆びです。赤錆びはクエン酸を使って落としましょう。
準備物
- クエン酸小さじ1/2
- 水100ml
- キッチンペーパー
- 雑巾

クエン酸を使って錆落としする手順
- 水100mlにクエン酸小さじ1/2を溶かしてクエン酸水を作る。
- クエン酸水をキッチンペーパーに染み込ませて、錆びの上にキッチンペーパーを置く。
- 30分ほど放置する。
- キッチンペーパーを取り、水で洗い流す。
- 乾いた雑巾で水分を拭き取って完了。
クリームクレンザーを使って錆落としする
クリームクレンザーも錆び取りに効果があります。クリームクレンザーには、汚れを浮き上がらせる界面活性剤と削り落とす研磨材が含まれています。
スポンジにクリームクレンザーを付けて、錆びをやさしく擦り洗いしましょう。仕上げにサラダ油を含ませた布で磨くと、ステンレスに艶が出て汚れ防止にもなります。

木工用ボンドを使って錆落としする
ステンレスの錆びは、木工用ボンドで剥がし取れます。錆びがボンドと一緒に取れてキレイになります。ボンドが乾ききるまで水がかからないように注意しましょう。
準備物
- 木工用ボンド

木工用ボンドを使って錆落としする手順
- 木工用ボンドを錆びの上に塗る。
- ボンドが透明になるまで乾燥させる。
- ボンドが乾ききったら、ゆっくりと剥がして完了。
キッチン全体の掃除方法については下記の記事で詳しく紹介しています。

ステンレスの錆落としする時の注意点

ステンレスの錆落としする際に気を付けるべきポイントについて解説します。安全で効果的に錆を除去し、ステンレスの美しさを長く保つための知識を身につけましょう。
強く擦らない
ステンレスの錆びを取る時は、やさしく丁寧に擦り洗いしましょう。ゴシゴシ擦ると酸化被膜が剥がれて錆びる原因を作ってしまうため、強く擦らないことが大切です。
サンポールは使わない
ステンレスの錆び取りには、サンポールは使ってはいけません。サンポールには塩素イオンが含まれているため、ステンレスの酸化被膜を溶かして錆びを発生させてしまいます。ステンレスの掃除には、使う洗剤の成分に注意が必要です。
サビ取り専用洗剤の扱いに注意する
重曹やクエン酸を使っても錆びが取れない場合は、サビ取り専用洗剤がおすすめです。しかし、サビ取り専用洗剤は、洗浄力や研磨力が強いためステンレスの酸化被膜を剥がしてしまうかもしれません。広範囲に使わず、錆びの部分だけに使うように注意しましょう。

ステンレスの錆びを防ぐ予防方法

ステンレスの保管場所の選び方、表面保護の工夫など、ステンレス製品を長期間美しく保つための具体的な方法を紹介します。正しい予防方法を知ることで、大切な製品を錆びから守り、快適に使用し続けられます。
他の金属製品と一緒に放置しない
ステンレスが錆びる主な原因は、もらい錆びです。もらい錆びを防ぐためには、ステンレスの上に鉄やアルミなど、他の金属製品と一緒に放置しないようにしましょう。特に缶詰の空き缶をステンレスシンクに置いたままにするのは要注意です。
また、トングや調理バサミなどキッチンアイテムは、シンクから離して収納しておくと錆びの予防になります。
塩分や油を洗い流す
ステンレスに塩分や、油が付いたままにしないようにしましょう。こぼれたしょう油や味噌、油ハネは錆びる原因になります。酸化被膜を傷つけないうちに、洗い流したり拭き取ったりする習慣が大切です。
さらに水分が残っていると錆びが発生しやすいです。鍋やシンクを使い終わったら、水分を拭き取って乾燥させると錆び予防になります。
塩素系漂白剤は使わない
ステンレスには塩素系の漂白剤を使わないようにしましょう。塩素系漂白剤はステンレスの表面を保護している被膜を剥がして、錆びを内部まで浸食させてしまいます。
手に負えない時はプロへ依頼するのがおすすめ
今回はステンレスが錆びる原因や、錆びの取り方を紹介しました。ステンレスはもらい錆びや、調味料の汚れが原因で錆びることがあります。軽い錆びならば簡単に取れます。
しかし、錆びがステンレスの内部まで浸透してしまった場合は、自分では取れないかもしれません。そんなときは業者にキッチンクリーニングを依頼しましょう。プロの技でステンレスを傷つけずにキレイにしてくれます。