賃貸の原状回復とは?原状回復義務や貸主と借主のガイドラインをまとめて紹介
賃貸住宅にお住いの方が退去時に必要になるのが原状回復です。賃貸の原状回復は国土交通省が定めたガイドラインによって、貸主と借主の負担すべきものが明確になっています。そこで今回は賃貸住宅の原状回復義務、貸主と借主の負担すべきものや原状回復工事の費用相場を紹介します。
賃貸住宅の原状回復義務とは?

賃貸住宅の原状回復というと、以前は「借りる前の状態に部屋を戻すこと」だと考えられていました。しかし、何年か住んでいれば住民が故意に部屋を汚さなくても経年劣化によって壁や床は傷んでいくものです。
賃貸住宅を借りている人にも原状回復義務はありますが、賃貸住宅の貸主であるオーナーにも原状回復義務はあります。借りている人がどこまで部屋を原状回復すべきか、貸主が負担すべき原状回復の範囲があいまいだと賃貸住宅を借りている人とオーナーとの間に退去時の原状回復トラブルがおこります。
実際に「全国消費生活情報ネットワークシステム」に寄せられる相談件数は、年間14,000件にも及ぶそうです。相談内容は「敷金を全額原状回復に使うと言われて返還されなかった」「退去後に法外な額の床の修繕費用を請求された」などです。こういったトラブルは、お互いにとてもしんどいことですよね。
2015年3月に120年ぶりに民法改正が閣議決定され、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しました。
>>【参考】国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
その中で賃貸住宅を借りている側と貸している側の原状回復について、双方が負担すべき範囲を示しています。ガイドラインの定義では以下のとおりになっています。
賃貸住宅を借りている人のガイドラインの定義
「部屋を借りた時の状態に戻す」ということではなく故意、過失によって部屋を損傷した場合は原状回復する。
賃貸住宅のオーナーのガイドラインの定義
経年劣化や通常消耗による部分を原状回復する。
賃貸を借りた人が負担するものは?

賃貸住宅を借りた人の原状回復義務は「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
わざと部屋を汚してしまった時や、不注意で部屋を汚してしまった場合は賃貸住宅を借りた人が部屋の原状回復費用を負担します。下記のようなケースは、賃貸住宅を借りている人が負担します。
- 子供が壁に落書きをした
- 壁にネジや釘で大きな穴があいた
- カーペット床にインクをこぼしてシミがついた
- 兄弟げんかでドアに穴があいた
- 部屋の模様替えで家具を動かす時に天井や床に傷がついた
- ヘビースモーカーのため壁紙が変色しクリーニングでは落とせないほど臭いがついている
- 風呂やトイレを掃除していないために水アカやカビが繁殖した
- 台所の換気扇の掃除を怠っていたためひどい油汚れがある
- 結露を放置して窓枠が腐っている
このように明らかに部屋を借りている人の故意でおきた住宅の損傷や、日常掃除していないための損傷部分は賃貸住宅を借りている人が原状回復費用を負担します。引っ越しまでに修繕するか、退去時に敷金から原状回復費用を差し引かれることとなります。
賃貸住宅のオーナーが負担するものは?

賃貸住宅の貸主であるオーナーは経年劣化や、自然消耗による部屋の損傷の原状回復費用を負担する義務があります。新しい借主に部屋を貸し出す前に劣化部分を回復します。
借主が通常使用で損傷した分は入居期間中の家賃で支払われているとみなされますので、借主が負担する義務はありません。下記のようなケースは、賃貸住宅のオーナーが負担します。
- 家具が設置されたあとのカーペット床のへこみ
- テレビや冷蔵庫の後ろの壁の電気ヤケ
- 日照などの自然現象でおこった壁紙やフローリングの色落ち
- 風呂やトイレを清掃していてもおこる経年劣化による損傷
- 畳、網戸の交換
- 壁の画びょうやピン等の小さな穴
昔は賃貸住宅を退去する時のハウスクリーニング代は、借主が負担するものと考えられており当然のように敷金から差し引かれていました。原状回復ガイドラインが定義されたことにより、借主が通常の使用で摩耗したところに関しては貸主がクリーニング代金を負担するべきだと変わってきています。
契約時に特約で「退去時にハウスクリーニング代として3,000円差し引く」などという具体的な項目がない限り、退去時のハウスクリーニング代は貸主が負担すべき費用です。
賃貸の原状回復工事ができる業者

原状回復工事を依頼できる業者
原状回復工事ができる業者は建設会社や工務店、原状回復工事専門業者などです。一般的に建設会社や工務店は、工事を下請け業者に依頼するため料金が高くなりやすいです。個人で工事している会社に、直接依頼した方が料金は安くすむようです。
しかし、建設会社に依頼すれば下請けの個人会社の職人の仕事ぶりをチェックしてもらえて、繁忙期でもスケジュール調整して対応してもらえるメリットがあります。
賃貸の原状回復工事はどちらが依頼する?
原状回復工事は、退去時に賃貸住宅のオーナーが業者に依頼します。オーナーの原状回復義務があるといっても部屋を借りていた人が、部屋を返す前に部屋を掃除して壊れたところは直さなければなりません。
借りている部屋の壁や床を大きく傷つけた場合は、退去時まで放置しておいて法外な費用を請求されるより、傷つけた段階で自分の納得のいく業者に依頼して速やかに処置した方がいいでしょう。その場合はリフォーム会社に依頼する方法があります。「賃貸住宅の壁紙が剥がれてしまった」「傷を補修してほしい」という要望に応えてくれます。
なかなか部屋を掃除できない人は、年に1回程度ハウスクリーニング業者に掃除を依頼してみてはいかがでしょうか?業者に依頼する時は、賃貸住宅のオーナーにも報告しておきましょう。賃貸住宅は借りている人の持ち物ではなく、貸しているオーナーが所有する財産です。貸主がきちんと了承した上で工事しないといけません。
原状回復工事の費用相場は?

賃貸住宅での原状回復工事の費用は、いくらくらいかかるのかが気になりますよね?貸主であるオーナーが工事を依頼した時の費用相場を紹介します。
- 壁紙の張り替え費用…1平米あたり1,000円
- 壁紙の傷の補修費用…10,000円~60,000円
- 畳の交換費用…1畳あたり4,000円~35,000円
- フローリングの張り替え費用…1畳あたり20,000円~60,000円
- フローリングの傷の修繕費用…8,000円~60,000円
退去時の原状回復工事について借主は、この費用を全額負担するのではなく経年劣化による負担削減が認められています。例えば壁紙の場合は耐用年数6年となっています。入居0年目なら壁紙の工事費用は100%借主が負担しなければなりません。
入居3年であれば50%の負担すればよく、さらに入居6年目なら借主が壁紙の工事費用を負担する必要はありません。この経年劣化の負担計算式は耐用年数が壁、床、浴室、台所など部位別に細かくガイドラインで定められています。
まとめ
今回は賃貸住宅の原状回復義務や、貸主と借主の負担すべきものや原状回復工事の費用相場を紹介しました。難しい話になりましたが、原状回復義務について詳しく知っていると敷金トラブルを防げます。部屋を借りた人と貸した人がどこまで費用負担すべきか、契約時にきちんと納得いくよう取り決めておきましょう。
また、賃貸住宅を借りる人は原状回復工事業者の適正価格を調べて、退去時に相場以上の請求されて損しないようにしましょう。次に引っ越してくる人が気持ちよく部屋を使えるようにしてから退去するのもマナーです。
忙しくて「こまめに掃除していなかった…」そんな時はハウスクリーニング業者に作業を依頼できます。キッチンやお風呂やトイレなどの水回りは、特にキレイにしておきたいものです。お世話になったお部屋に感謝して、気持ちよく返しましょう。
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