緑青は無害で、手で触れても健康被害はありません。昭和後期まで有毒と誤解されていましたが、厚生省が安全性を公式に認めています。
緑青の落とし方はどうすればいいですか?家庭では重曹ペーストや酢と塩を使って磨く方法、市販の専用クリーナーを使う方法があります。対象の素材に合わせて選びましょう。
緑青を防ぐにはどうしたらいいですか?使用後に水分を拭き取る、表面をコーティングする、湿度を下げる、定期的に軽く磨くと再発防止になります。アクセサリーは汗を拭くだけでも効果的です。
銅や真鍮に現れる青緑色の錆「緑青(ろくしょう)」は、かつて有毒と誤解されていましたが、現在では通常の環境で発生するものは無害であることが確認されています。ただし、美観を損ねたり、衣服に付着すると落としにくくなるため、早めの対処が大切です。
そこで今回は、緑青が発生する原因や落とし方、再発を防ぐ予防策を紹介します。
緑青(ろくしょう)とは?

緑青(ろくしょう)とは錆(サビ)の一種です。10円玉に緑色のようなものが付着しているのを見たことはありませんか?あれがいわゆる緑青です。
アクセサリーや眼鏡の鼻あてにも緑青は発生します。アメリカにある有名な自由の女神も全体が緑色っぽくみえますが、あの緑も緑青が原因です。
緑青は錆の一種ではありますが、錆が金属の表面を覆うことで腐食を防ぐ役割を果たしています。錆というとあまりいいイメージはありませんが、日本にある数多くの大仏や先ほど述べたアメリカの自由の女神が長い年月、姿形を保っていられるのも緑青のおかげです。
日本では昭和後期頃まで、緑青は有毒であると考えられてきました。昭和時代の教科書や辞書にもそのように記されていました。しかし、その考え方は間違いで当時の厚生省も緑青に有毒性はないということを正式に認めています。
残念ながら厚生省の発表から30年以上経った今でも、緑青は有毒という勘違いは完全に拭い去られていません。
緑青は無害なので触っても問題ありません。安心して錆落としやお手入れしてください。アクセサリーや蛇口などに緑青が発生している場合は、衣服に付いてしまう可能性があります。放っておくと錆が広がってしまうので、見つけたら早めに錆落とししましょう。
【参考】
銅の安全性銅について知る 日本銅センター
緑青が発生する原因と条件

緑青は、銅や真鍮が環境中の成分と反応することで自然に生成されます。以下の条件が揃うと発生が加速します。
- 【湿気】:表面に水分が付着すると酸化反応が進みやすい
- 【酸素・二酸化炭素】:空気中に常に存在し、銅と反応して緑青を生成
- 【塩分】:海沿いの地域や人の汗が触れる場所では腐食が進みやすい
- 【時間経過】:長年の使用や経年劣化によって自然に生成される
イメージしやすいのが汗です。銅や真鍮でできたアクセサリーや眼鏡をつけて、汗をかいてそのままにすると緑青が発生します。
緑青が衣服に付いてしまうと取れにくいので、使用した後はふき取るなど日々の予防や対策が必要です。錆落としの手間が少しでも減るよう対策しましょう。
家庭でできる緑青の落とし方

市販の薬品を使わなくても、家庭にあるアイテムで緑青を落とせます。そこで手順を紹介します。
鏡・蛇口・シンクの掃除方法については下記の記事で詳しく紹介しています。
①重曹ペースト
重曹は油汚れに強く研磨効果があるのでアクセサリーや、眼鏡などに付着した緑青を落とすのに効果的です。
準備物
- 重曹
- 水
- 古歯ブラシまたは綿棒
- 布巾
重曹ペーストで落とす手順
- 重曹と水を1:2の割合で混ぜて重曹ペーストを作る
- 古歯ブラシまたは綿棒を使って緑青の付いた部分を優しく磨く
- 磨き終わったら水拭きする。水で洗えるものは水洗いする。そのあとは水分が残らないようにしっかりと乾拭きする
②酢と塩
錆は銅が酸化して発生するため、酢を利用して落とします。酢は酸の還元作用を促し、元に戻す力を持っています。しかし、酢はアクセサリーそのもののテイストも落としてしまう可能性もあるので、は様子を見ながら磨きましょう。
準備物
- 酢
- 塩
- 古歯ブラシまたは綿棒
- 布巾
酢と塩で落とす手順
- 酢と塩を1:1の割合で混ぜてペーストを作る
- 古歯ブラシまたは綿棒を使って緑青の付いた部分を優しく磨く
- 磨き終わったら水拭きする。酢の臭いが付いて気になる場合は中性洗剤で洗い流す。そのあとは水分が残らないようにしっかりと乾拭きする
③市販のクリーナー
重曹や酢でも落とせないような頑固な緑青には専用クリーナーを利用するのも一つの方法です。クリーナーの成分によっては使用できる箇所や素材があるので、使用方法を確認して錆落とししましょう。擦った時にメッキが剝がれてしまうこともあるので注意しましょう。
素材別・緑青の落とし方
アクセサリーや蛇口、仏具など、対象によって緑青の落とし方は変わります。素材別の対応法を紹介します。
- 【アクセサリー(指輪・ネックレス)】:酢や重曹で磨き、乾拭きして完全乾燥させる
- 【蛇口・水回り】:クエン酸パック後に拭き取り、最後は乾いたタオルで仕上げる
- 【仏具・建材】:広範囲の緑青は業務用クリーナーや専門業者に依頼した方がいい
- 【硬貨・美術品】:磨きすぎは価値を損なうため、専門的な保存方法を依頼がおすすめ
青錆・緑青(ろくしょう)の落とし方手順動画
時間のある方は、以下の動画で手順をわかりやすく確認できます。
緑青を再発させないための予防方法

落とした後は再発防止が大切です。日々のちょっとした習慣で緑青の発生を大幅に抑えられます。
- 【使用後に水分を拭き取る】:蛇口や調理器具、アクセサリーは使用後に布でしっかり乾拭きする
- 【表面をコーティング】:ワックスやクリアコートで保護膜を作り、酸化反応を防ぐ
- 【湿度を管理する】:浴室や台所など湿気の多い場所は換気や除湿機で乾燥を保つ
- 【定期的に軽く磨く】:ごく初期の緑青を早めに落とし、拡大を防ぐ
アクセサリーや仏具のように汗や皮脂が付着しやすいものは、使用後に柔らかい布で拭くだけで予防効果が高まります。こうした習慣を続けることで、美観を維持しつつ緑青の再発を長期的に防ぐことが可能です。
忙しい時にはプロへ依頼するのがおすすめ
今回は緑青が発生する原因や落とし方、再発を防ぐ予防策を紹介しました。
お気に入りのアクセサリーや普段から使う眼鏡に緑青がついていたら悲しいです。錆落としの方法は簡単なので、この機会にキレイにして長く使いましょう。緑青は無害であっても、生活用品の見た目や耐久性に影響を及ぼします。湿気や汗など日常的な条件で再発しやすいため、落とした後の乾拭きや湿度管理など予防の工夫が欠かせません。
重曹や酢と塩で落ちる場合もありますが、広範囲や頑固な緑青は家庭では除去が難しいこともあります。確実にきれいにしたい時は、専門のクリーニング業者に依頼するのが安心です。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
緑青は金属の寿命を縮めることがありますか?
緑青は表面を覆うことで内部を守る働きもありますが、水回りや汗に触れる環境では腐食が進みやすく寿命を縮めることがあります。特に蛇口やアクセサリーは定期的な清掃と乾拭きで劣化を防ぐことが大切です。
緑青が衣服や布製品に付いたらどうすればよいですか?
繊維に緑青が付着すると落ちにくいため、早めの処置が重要です。中性洗剤やクエン酸を薄めた溶液で洗うと軽度の汚れは落とせますが、時間が経つと変色が残ることもあります。衣服を守るには普段から乾燥と保管環境の工夫が必要です。
価値のある硬貨や美術品についた緑青はどう扱うべきですか?
無理に磨くと表面を傷めて価値を損なうため、専門業者や保存機関に相談するのが適切です。自宅での処置は避け、湿度管理や防錆環境を整えて劣化を抑えることが望まれます。
市販の専用クリーナーはどんな場合に使うのがよいですか?
重曹や酢でも落ちない頑固な緑青や広範囲にわたる場合は市販クリーナーが有効です。ただし素材によって使用可否が異なり、メッキ剥がれや変色のリスクもあるため、説明書をよく確認して慎重に使用する必要があります。
仏具や建材の緑青は家庭で落とせますか?
仏具や建材など広範囲の緑青は家庭での清掃には限界があり、再発しやすいのが特徴です。効率よく除去し寿命を延ばすには、業務用クリーナーや専門業者への依頼が望ましいです。
眼鏡やアクセサリーの緑青は肌に悪影響がありますか?
緑青自体は無害で肌トラブルの直接原因にはなりませんが、付着すると見た目や使用感に影響します。さらに金属部分の劣化が進むと破損の恐れもあるため、使用後に布で拭き取り寿命延長を図ることが大切です。
湿度が高い季節にはどんな点に注意すべきですか?
梅雨や夏は湿度が高く緑青が出やすい環境です。換気や除湿を徹底し、使用後は水分を残さないことが予防の基本です。除湿機や防湿剤を併用すると緑青の再発を効率的に抑えられます。

