カビ臭の主な原因は、フィルターや熱交換器、送風ファン、ドレンホースなどに繁殖したカビや雑菌です。冷房運転によって発生する結露が内部に残り、湿気がこもることでカビが繁殖しやすい環境が生まれます。目に見えるフィルターだけでなく、分解しないと掃除できない内部パーツが臭いの温床になっているケースが多いため、根本的な解決にはプロの分解洗浄が効果的です。
フィルターを掃除してもエアコンのカビ臭が取れないのはなぜ?フィルター掃除だけでは内部ファンや熱交換器に付着したカビまでは取り除けないため、臭いが残ることがあります。とくに送風ファンにカビが繁殖している場合は、運転中にカビの臭いが室内に拡散されやすくなります。掃除をしても改善しない場合は、家庭用の掃除では届かない部分に原因がある可能性が高く、分解洗浄を行う専門業者への依頼が推奨されます。
エアコンの送風がカビ臭いときの応急処置はある?応急処置としては、送風モードを10〜30分運転して内部を乾燥させる方法が有効です。あわせて、フィルターを取り外して洗浄し、室内の換気を行うことで臭いを軽減できます。ただし、これらの対処はあくまで一時的な効果にとどまり、カビの根本的な除去にはなりません。改善しない場合は早めに専門業者に点検・洗浄を依頼することが安全です。
エアコンをつけた瞬間に鼻をつくカビのようなにおいを感じたことはありませんか。そのまま使い続けていると、不快なだけでなく、カビの胞子が室内に広がり、アレルギーや喘息など健康への悪影響を及ぼす可能性もあります。
そこで今回は、エアコンからカビ臭が発生する原因や、自分でできる応急処置や徹底掃除の方法を紹介します。プロに依頼する前に知っておきたい5つのポイントも合わせて紹介します。快適で清潔な空気を取り戻すための実践的なガイドとして、ぜひご活用ください。
エアコンからカビ臭がする原因は?

エアコンをつけた瞬間、部屋にカビのような嫌な臭いが広がったことはありませんか?
この臭いは、ただの不快感ではすまず、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす原因になる可能性があります。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、注意が必要です。
カビ臭の正体と、発生源となるエアコン内部の代表的なポイントをわかりやすく紹介します。
フィルターの汚れ
エアコンのフィルターには、空気中のホコリや花粉、皮脂などの汚れが溜まりやすく、掃除を怠るとカビや雑菌が繁殖します。その状態で運転を続けると、カビの胞子や臭いが空気の流れに乗って室内全体に広がってしまいます。快適で清潔な空気環境を保つためには、少なくとも月に1回は、フィルター掃除することを推奨されます。
熱交換器に残った結露
冷房運転中、エアコン内部の熱交換器には大量の結露が発生します。これが十分に乾燥しないまま残ると、エアコン内部の湿度が高い状態が続き、カビが繁殖しやすくなります。使用後に送風運転や内部クリーン機能を活用することで、カビの発生を防げます。
ドレンホースの詰まり
結露によって発生した水は、ドレンホースを通じて屋外へ排出されますが、長期間掃除していないと、ホコリや虫、カビの塊などでホースが詰まりやすくなります。水が滞留すると、ぬめりや雑菌が発生し、それが悪臭の原因になります。水漏れや異臭がある場合は、ドレンホースの点検・清掃が必要です。
参考:エアコンにカビが生える!自分でできる掃除法やカビ対策を解説
参考:内部クリーンは毎回必要ですか(ルームエアコン) - よくあるご質問ダイキンコンタクトセンター
エアコンのカビ臭を今すぐ軽減する応急処置とは?

「今すぐこのカビ臭をどうにかしたい!」という方のために、専門的な知識がなくても簡単にできる応急処置を3つ紹介します。どれも今日からすぐに試せる方法なので、まずはできることから始めて、臭いの軽減につなげましょう。
送風運転を10〜30分行う
冷房運転を止めた後は、送風モードに切り替えて10〜30分ほど稼働させましょう。これにより、エアコン内部に残った湿気を効率よく乾燥させることができ、カビの繁殖を抑える効果が期待できます。
日常的に行うことで、臭いの発生を予防する習慣にもなります。
フィルター掃除を月1回の習慣にする
フィルターにはホコリや花粉、皮脂汚れなどが溜まりやすく、放置するとカビや雑菌の温床になります。月に1回を目安に掃除することで、目に見える汚れだけでなく、臭いの元となるカビの胞子も取り除けます。掃除機やぬるま湯洗いで手軽にメンテナンスできるため、習慣化するのがおすすめです。
運転前に窓を開けて換気する
エアコンの運転を始める前に窓を開けて換気することで、エアコン内にこもった空気や臭いを室外へ逃がせます。あわせて室内の空気循環も促され、カビ臭を感じにくくなります。湿度の高い日や、久しぶりにエアコンを使う際には、意識して換気を取り入れると効果的です。
エアコンのカビ臭を根本から解決!自分でできる掃除方法

応急処置でカビ臭が改善しない場合は、エアコン内部に汚れやカビが蓄積している可能性があります。そのまま放置すると悪臭や健康リスクが続くため、部位ごとの徹底掃除が効果的です。ここでは、初心者でもできるDIYクリーニングの手順を、わかりやすく紹介します。
掃除の準備と注意点
- エアコンの電源を切る。念には念を入れてコンセントを抜いておく
- 足場を固定する。不安定なものに登っての作業は危険です
- 養生シートや新聞紙で周囲を保護する
準備ができたら、さっそく掃除にとりかかりましょう。
エアコンフィルターの掃除

フィルターと吹き出し口のルーバー部分は、ホコリやカビが溜まりやすい場所です。
準備物
- 掃除機
- ブラシまたは古歯ブラシ
- 中性洗剤
フィルター掃除の手順
- 掃除機を使ってエアコンにフィルターをつけたまま表面のホコリを吸い取る。
- フィルターをエアコンから外し、フィルターの外側から内側の順でホコリを掃除機で吸い取る。
- シャワーの水でフィルターの内側から外側の順で水洗いする。
- フィルターを日陰に干して、乾かしてから取り付けて完了。
エアコンフィルターを掃除する方法については下記の記事で詳しく紹介しています。

ルーバーを掃除する方法

ルーバーとは、エアコンから出る風の向きを調節する羽のことです。基本的にはほとんどのエアコンで取り外せますが、中には取り外しにくいものもあるようです。取り外しが難しいようであれば、無理をせずその場で拭き掃除程度にとめておくと安心かもしれません。
準備物
- ブラシまたは古歯ブラシ
- 中性洗剤
ルーバーの掃除手順
- ルーバーの真ん中で固定されている部分を外す。次に、左右で固定されている部分を外す。
- エアコンルーバーを軽く全体を水洗いする。落ちない場合は洗濯用の中性洗剤を使って洗う。
- エアコンルーバーを日陰に干して、乾かしてから取り付けて完了。

エアコンのルーバー動かない時や自分で交換する方法については下記の記事で詳しく紹介しています。

熱交換器(アルミフィン)の掃除

エアコン内部の冷却・加熱を行う「熱交換器」も、カビや臭いの原因になりやすいパーツです。
熱交換器(アルミフィン)を掃除する手順
- 市販のエアコン用クリーナースプレーを使用して、アルミフィンに向けて均等に噴射する。
- 作業前には、必ず取扱説明書を確認し、対応可能かどうかを確認する。
水を直接かけるのは厳禁です。水分が基盤部分に入ると故障の原因になります。
ドレンホースの通水確認

排水がスムーズにできないと、カビ臭や水漏れの原因になります。
ドレンホースの掃除手順
- ドレンホースの先端から水を流し、正常に排出されるかを確認する。
- 詰まりがある場合は、パイプクリーナーやドレンホース専用の洗浄ポンプなどを使って異物を除去する。
ホースの途中に汚れが溜まりやすいため、年に1回程度のチェックが安心です。
プロに依頼すべきか?5つの判断ポイント

エアコンのカビ臭対策では、「自分で掃除してすむのか」「プロに任せるべきか」の見極めが非常に重要です。無理にDIYを続けても効果が出なければ、時間もお金も無駄になってしまいます。以下の5つの判断ポイントを参考に、最適なタイミングでプロの手を借りましょう。
表面掃除で臭いが取れないとき
フィルターや吹き出し口を掃除してもカビ臭が残る場合、原因は内部ファンや熱交換器の奥深くにある汚れにある可能性が高いです。家庭用の道具では届かない箇所にカビが根を張っているケースでは、専門業者による分解洗浄が効果的です。
事前に費用相場を把握しておく
一般的な壁掛け型エアコンのクリーニング費用は、1台あたり8,000〜15,000円程度が目安です。お掃除機能付きエアコンの場合は、構造が複雑なため追加で5,000円前後かかることがあります。相場を知っておけば、高額請求や不当な追加費用を避けられます。
築10年以上の住宅は内部汚れが深刻なことも
築年数が経っている家や、5年以上エアコン掃除をしていない場合は、見えない内部に汚れやカビが蓄積していることが多くあります。見た目はキレイでも、内部から強い臭いがする場合は、早めに業者に相談することをおすすめします。
防カビコーティングの追加で効果を長持ちさせる
エアコンクリーニングを依頼する際は、防カビコーティングのオプションも検討しましょう。料金は1,000〜3,000円程度で、処理後は3〜6ヶ月間カビの再発を抑える効果が期待できます。臭いや汚れの再発予防として、コストパフォーマンスの高い対策です。
業者に依頼するなら春・秋が狙い目
6〜8月の繁忙期は予約が取りづらく、料金も高くなる傾向があります。反対に、春(4〜5月)や秋(9〜10月)などの閑散期は、予約が取りやすく価格も比較的割安です。余裕を持ってプロに依頼するなら、これらの時期を狙うとスムーズです。
カビ臭を繰り返さない!予防習慣

エアコン内部をキレイにしても、日常の予防対策を怠ると、カビ臭はあっという間に再発してしまいます。快適な空気環境を長く保つためには、日々の小さな習慣が何より大切です。以下のポイントを意識して、カビを寄せ付けない生活習慣を取り入れましょう。
退室前は「送風モード」で10分運転
冷房使用後は、部屋を出る前に送風モードに切り替えて10分ほど運転しましょう。内部に残った湿気を飛ばして乾燥させることで、カビの繁殖を防ぐことができます。特に梅雨時期や夏場には効果的な習慣です。
月1回のフィルター掃除を習慣化する
フィルターにホコリや皮脂汚れが溜まると、空気の通りが悪くなりカビが発生しやすくなります。カレンダーやスマホのリマインダー機能などを使って、毎月1回の掃除日を決めておくと、忘れずに継続できます。
室内の湿度を50〜60%に保つ
カビが好む湿度は60%以上です。除湿機や加湿器を活用して、湿度を50〜60%の快適な範囲にキープすることで、エアコン内外のカビ発生を防ぐことができます。湿度計を使ってこまめにチェックするのもおすすめです。
冷房設定温度を極端に下げすぎない
室温を急激に下げると、エアコン内部に大量の結露が発生しやすくなります。結露が残ったままだとカビが繁殖する原因になるため、冷房の設定温度は外気との差を5〜7度以内に抑えるよう心がけましょう。
気になるときは定期的にプロに点検を依頼する
エアコンの風がいつもと違う、ニオイがすぐ戻ってしまうなど、違和感がある場合は早めに専門業者に点検を依頼するのが安心です。年に1回の定期点検を習慣化すれば、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
エアコン掃除を業者に依頼した時の流れについては下記の記事で詳しく紹介しています。

不安な時にはプロへ依頼するのがおすすめ
今回はエアコンからカビ臭が発生する原因や、自分でできる応急処置や徹底掃除の方法を紹介しました。エアコンのカビ臭は、フィルターの汚れや内部の湿気、排水不良などが主な原因です。
応急処置や定期的なフィルター掃除である程度は改善できますが、内部のカビや臭いを完全に除去するには限界があります。
使用年数が長いエアコンや、掃除してもニオイが残る場合は、専門の知識と機材を持つプロに依頼するのが確実で安全です。快適な空気環境を保つためにも、一度エアコンクリーニング業者に相談してみましょう。
よくある質問
この記事に関するよくある質問
カビ臭がするエアコンを使い続けると健康に悪い?
エアコンからのカビ臭は健康被害の原因になる可能性があります。カビの胞子や細菌が空気中に拡散され、吸い込むことでアレルギー性鼻炎、喘息、喉の炎症などを引き起こすことがあります。特に小さな子どもや高齢者、呼吸器系に不安がある方がいる家庭では、早めの対応が重要です。臭いが気になった時点で、内部洗浄の検討をおすすめします。
カビ臭対策に市販のスプレーや洗剤は効果がある?
市販のスプレーや洗剤には一定の消臭・除菌効果がありますが、根本的なカビ除去は難しいのが実情です。とくにエアコン内部の奥まった箇所には届かないため、短期間で再発するケースが少なくありません。また、誤った使用で故障のリスクもあるため注意が必要です。確実に臭いを取り除きたい場合は、業者による分解クリーニングが最も効果的です。
エアコン内部のどの部分が特にカビやすいのか?
もっともカビが発生しやすいのは、熱交換器(アルミフィン)や送風ファン、ドレンパンといった湿気が溜まりやすい場所です。冷房運転時に発生する結露が残ったままになると、内部が高湿度となりカビが繁殖しやすくなります。これらの部位は分解しないと見えないため、家庭での掃除が難しいのが特徴です。カビ臭が気になる場合は、これらのパーツを対象とした業者の分解洗浄が効果的です。
カビ臭が出る前にできる予防方法には何がある?
予防には、送風モードで内部を乾燥させる習慣と、月1回のフィルター掃除が基本です。また、エアコンを使う部屋の湿度を50〜60%に保つことで、カビの繁殖環境を防げます。冷房使用後にすぐ電源を切らず、10分ほど送風運転を行うことで内部の結露を乾かし、再発リスクを大きく下げることが可能です。プロのクリーニング後も、このような日常管理を継続することが効果を長持ちさせる鍵となります。
ドレンホースや熱交換器の汚れがカビ臭の原因になる?
どちらもカビ臭の原因となる重要なパーツです。ドレンホースにゴミや虫が詰まると排水が滞り、内部に水がたまって雑菌やカビが発生しやすくなります。熱交換器(アルミフィン)は冷房時に結露が生じるため、湿気が残っているとカビが繁殖します。これらの部位は掃除しにくく、一般の市販スプレーでは届かないケースが多いため、定期的に専門業者にチェックしてもらうのが安心です。
冷房使用後にエアコンから臭いが残るのはなぜ?
冷房を止めた直後に臭いがするのは、内部に残った湿気によってカビや雑菌が繁殖している可能性があります。特に、送風ファンや熱交換器に水分が残ったままだと、使用後に独特のカビ臭が発生しやすくなります。また、ドレンホースが詰まっている場合も排水不良により臭いの原因になります。こうした症状が続く場合は、送風による乾燥や、内部の分解洗浄を検討すると改善が期待できます。
フィルター以外の掃除でカビ臭を軽減できる場所は?
カビ臭が続く場合は、吹き出し口(ルーバー)、送風ファン、ドレンパンの清掃が有効です。これらの部位はカビの胞子が付着しやすく、送風とともに臭いが広がる原因になります。家庭でできるのは、ルーバー周辺の拭き取りや除菌スプレーの活用程度ですが、内部ファンやドレンパンは分解が必要なため、専門業者の対応が推奨されます。フィルター掃除だけでは効果が薄い場合、次に手をつけるべき重要なポイントです。